マセラティがフェラーリとの決別で見せた本気 電動化を見据えた「MC20」が示す未来への挑戦

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今回のMC20における大きな注目ポイントは、2001年以来、使用されてきたフェラーリ製パワートレインとの決別だ。マセラティの“エンジン屋”としての伝統に回帰し、設計・製造ともマセラティの手による新エンジンが採用された。

「MC20」に搭載されるV6エンジン「Nettuno」(写真:マセラティ)

マセラティとしては、現行のフェラーリとの共同開発によるV6、V8エンジンに関する供給契約が、然るべきタイミングで終了することを発表しており、これから順次、自社製へと切り替わっていく予定だ。また、これまでフェラーリが受託していたモデナ生産マセラティモデルのペイントも、内製化することになった。

フェラーリは2015年にFCAからスピンアウトし、独立系自動車メーカーとなった。しかし、マルキオンネはFCAとフェラーリのCEOを兼務していたから、フェラーリとマセラティとは、開発・製造に関する深い協業体制が続いていた。ところが、その両者をつないでいたマルキオンネの死去により、大きくその関係は変化した。

フェラーリはライバルへ

両社の開発等における交流は、次第に姿を消していった。2014年、マセラティの100周年を記念して発表され、高い人気を博した「アルフィエーリコンセプト」が商品化されなかったのも、このあたりに原因がある。

アルフィエーリコンセプトは、フェラーリ某モデルがベースとなっていたし、そこに使われてきたフェラーリのアルミ製スペースフレームの開発・製造資産が使用できないというのは、大きな足かせになったはずだ。

幻となったアルフィエーリコンセプト(写真:筆者撮影)

しかし、別の側面からみれば、マセラティはフェラーリとのしがらみから自由になった。これからは大手を振って、フェラーリとの競合カテゴリーへの参入が可能となるわけだ。

今までマセラティが参入していなかったミッドマウントエンジン車のカテゴリーにMC20が参入することは、かつての“マセラティVSフェラーリ”時代の復活ではないか。これは、フェラーリからエンジン供給を受けていた従来の事業構造の下では、やりにくかったことだ。

このニューモデルが“MC=マセラティ・レーシング”とネーミングされたことでもわかるように、マセラティはモータースポーツへの公式な再参入も明言している。FIA GT3カテゴリーへの参入が予想されており、ここでもマセラティとフェラーリの対決を見ることができるであろう。

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