マセラティがフェラーリとの決別で見せた本気

電動化を見据えた「MC20」が示す未来への挑戦

MC20は好意的にマーケットから受け止められ、比較的リーズナブルに設定された価格(日本国内では2650万円~)とも相まって、オーダーが殺到しているようだ。しかし、こういったトップレンジモデルを求める客層からは、6気筒エンジン採用に対するネガティブな意見が聞こえてくるのも事実である。

この手のラグジュアリーマーケットにおいては、スペックも重要視されるからだ。フェラーリやランボルギーニなどがこだわっている8気筒、12気筒エンジンのほうが高いステータスを持つという指向は、いまだ根強い。

しかし、内燃機関の環境に対する規制はさらに厳しくなっている。とくにCO2排出量に関しては、スポーツカーにとって大きな逆風であり、これらライバルメーカーたちにとっても頭痛の種である。

多シリンダーモデルではハイブリッド化がマストであるし、将来に向けて小排気量、小気筒数化が進んでいくことは間違いない。であるから、マセラティがこの期におよんで、新たに8気筒以上のマルチシリンダーエンジンを開発するというのは、理にかなったことではない。

“電動化”を新たな価値に

そこで、彼らは気筒数とは異なった付加価値を設け、環境問題へと高いレベルでの対応を選んだ。

MC20の新V6エンジンには、国際特許を取得している自社開発の燃焼システムMTC(マセラティ・ツイン・コンバスチョン)を採用した。このF1などに用いられているシステムを市販車に採用するのは結構な冒険であるが、その恩恵によりパワーやスポーツカーエンジンとしての素性は、ライバルたちと比較して遜色はない。

さらにマセラティは、このカテゴリーにおいて存在感を高める重要な戦略を用意している。それはMC20のBEV(完全電動)版だ。

BEV仕様モデルのシャーシ(写真:マセラティ)

当初、このMC20はハイブリッド仕様の開発計画が存在したが、その計画は破棄され、BEVバージョンの追加が決定した。すでに800Vシステム採用のAWD(全輪駆動)プロトタイプがテストを繰り返しており、来年には正式発表される模様だ。

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