「女子大は生き残りのために積極的な就職支援を行って結果を出してきた。就職率と入試の倍率を勘案すると、女子大はお得と言える」(石原氏)
女子大の就職力について、全就職先と有名企業400社を対象にした実就職率のランキングでそれぞれ傾向を見ていこう。ランキングの対象は女子大で卒業生100人以上の大学だ。
全体実就職率のランキング1位は昭和女子大学だった。卒業生1000人以上と規模が大きな女子大の中では、10年連続でトップに立つ。国際、グローバルビジネス、人間文化、人間社会、生活科の5学部(2020年3月卒業時点)からなり、グローバルビジネス学部の実就職率は100%だった。駿台の石原氏は、「かつての良妻賢母型から実務型に変わったことが、女子大の就職の良さのベースにある」と言う。
ビジネス系の実務型学部が強みになっているのは、6位の安田女子大学も同様で、現代ビジネス学部の実就職率は100%だ。
就職に有利な資格が取得できる学部の充実も、高い実就職率の要因になっている。2位の岐阜女子大学は、家政学部と幼稚園や小学校などの教員免許が取得できる文化創造学部で構成され、3位の聖徳大学は、全6学部中、児童、心理・福祉、人間栄養、看護の4学部が資格系学部だ。
4位のノートルダム清心女子大学は、人間生活、児童、食品栄養の3学科で構成される人間生活学部を持ち、5位の東京家政大学は、家政学部に児童学科や栄養学科を設置するなど、就職に強い資格取得ができる学部が揃っている。
以下、7位仙台白百合女子大学、8位東京女子大、9位千里金蘭大学、10位園田学園女子大学など、日本各地の女子大がトップ10にランクインしている。
有名企業400社実就職率は津田塾大がトップ
一方、日経225採用企業や就職人気企業といった有名企業400社を対象としたランキングでは、津田塾大が前年の3位から1位になった。同大の特徴は、ただ有名企業に強いだけでなく、就職者の9割以上が総合職や専門職に就いていること。女子大の中では全国から学生が集まる大学であり、もともと地元を離れている学生は、勤務地にこだわりを持たない学生が多いことが一因になっているという。
2位は前年トップだった東京女子大、3位は5位から上がった日本女子大。この2校も総合職や専門職の割合が高く、トップ3を東の御三家が占めた。4位の聖心女子大学まで実就職率が20%を超えており、5人に1人が有名企業に就職している計算になる。これは、MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)など、有名総合大学と比較しても遜色のない数値だ。
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