47都道府県「記者クラブ」は外に開かれているか 悉皆調査で判明、彼らの考える自らの閉鎖性
これらの姿勢からは、責任の所在を明らかにしない“ぬえ”のような雰囲気が見える。行長の庁舎内に「記者室」を構え、そこをほぼ独占的に使用しているが、記者クラブは法人格を持たない任意組織だ。理事長や会長といったトップはおらず、輪番制の幹事社が運営を仕切っている。地方では、地元の有力メディアが「常任幹事」として運営を一手に握っているケースも少なくない。クラブの運営を定めた規約はあっても、クラブ運営に関する統一見解は示さないという実にあいまいな回答もある。
一方、本音を吐露する回答者もいた。息急き切ったような内容である。北陸地方の記者クラブによるコメントだ。大意を引用しよう。
今回の調査では、各記者クラブに対し、それぞれの規約を見せてほしいという「情報開示」に関する問いも盛り込んだ。
規約を提供してくれたのは8県
回答と一緒に規約をフロントラインプレスに提供してくれた記者クラブもあった。青森、秋田、新潟、富山、山梨、岐阜、奈良、鹿児島の8県である。規約そのものの提供はなかったものの、来てくれれば見ることは可能といったクラブもいくつかあった。ただし、こうしたクラブは少数派だ。大半の記者クラブは、公開できないという姿勢である。どんな理由なのか。詳細は末尾の一覧をご覧いただくとして、主な「非公開」理由をピックアップしておこう。
【大阪府】記者室に常駐する会員が、その事務運営を行うために定めた内部のルール。外部への公開を予定したものではない。
【愛媛県】公開を前提に作成された文章ではないこと、「開示を求める目的、意図が明らかではない」という意見あることから、応じかねる。
【佐賀県】(フロントラインプレスの取材担当記者と)面識がない上、取材理由も明確に示されていないので、ファクスやメールで送ることは控える。
ほとんどは、「内部規定」「公開を前提にしていない」という回答だ。そのほかに上で示した愛媛県や佐賀県などのように、開示を求める意図が分からないから出せない、という反応もあった。今どき、行政機関や司法機関に対して情報公開請求をメールで行っても、意図を聞かれることはない。まして面識がないことを理由にはねつけられることもない。
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