黄昏の不動産ファンド、国内最大手ダヴィンチが窮地に
国内最大手の不動産ファンド、ダヴィンチ・ホールディングスが窮地に立たされている。2009年度決算で263億円の最終赤字を計上、110億円の債務超過に転落した。ピーク時は1・5兆円近くの資産を運用していたが、不動産市況の激変に対応できず1076億円もの棚卸資産評価損を計上した。
すでに昨年9月には、約2000億円で取得した「パシフィックセンチュリープレイス丸の内」(オフィス部分)を担保にしたノンリコースローン(非遡及型融資)がデフォルト(債務不履行)し、銀行主導で売却。事前に売却や融資を各方面に打診していたが、誰も相手にしなかった。
1430億円で取得した「芝パークビル」も期日返済されず、返済猶予期間に入っている。売却を持ちかけられた関係者は「とても価格が釣り合わない」とニベもない。「ダヴィンチ芝公園」など中小物件でもデフォルトが広範囲に発生しているもようだ。
金融環境の激変が直撃
ダヴィンチの不動産ノンリコースローンのLTV(担保掛け目)は、メザニン(信用力の劣る債務)も含め80~90%の水準。高いLTVで資金調達し、大型物件の入札に参加。高値で次々と落札してきた。
金子修社長は08年前半まで「相対(あいたい)で(安値で)買っている暇などない」「サブプライム危機は終わりに近づいている」と強気の姿勢を崩さず、戦線縮小が大幅に遅れた。
頼りにしてきた外資系投資銀行の大半も撤退した。邦銀は不動産融資に関しては選別姿勢を続け、とりわけニューマネーの供給には二の足を踏んでいる。融資条件も従来、LTVは物件評価額の70~80%だったが現状は50%台。
都心部の地価も最大半値に下がる中では、借り換え時の資金調達額は激減し、エクイティやメザニンの毀損は当たり前。取得、売却、債務借り換えとも八方ふさがりの中、保有不動産の評価額下落とデフォルトを見守るだけだった。