楢葉町、町長を悩ませる「帰還判断」

松本町長が語る、原発事故後ゼロからの町づくり

松本幸英・楢葉町長は5月末までの帰町判断を予定している
原発事故で約7500人の全町民が避難生活を強いられている福島県楢葉町。除染やインフラ復旧の進展を踏まえて5月下旬に「帰町の判断」を予定しているが、住民からは不安の声も少なくない。松本幸英町長に、「失われた町」再建のための課題を聞いた。

3つのテーマに絞られた

――5月末までに「帰町の判断」を予定している。

帰町判断自体は、2013年5月に策定された町の第二次復興計画に位置付けられたもので、それに基づいて準備をしてきた。有識者による除染検証委員会や原子力防災対策検討委員会での議論や議会、そして最終的には町民の皆さんの意見を踏まえて判断させていただく。

町民との町政懇談会は4月21日から5月2日までの間に、延べ13回にわたって福島県や東京都、茨城県内で開催してきた。そこでのご意見は大きく以下の3つのテーマに絞られたと考えている。つまり1つ目が、福島第一原子力発電所および第二原発を含めた安全の担保、2つ目が放射性物質の除染や放射線量の問題、そして3つ目が賠償の問題だ。

賠償の問題はひとまず置くとして、残る2つの課題については「安全の確保」「生活に必要な機能の回復」の観点から町が設定した24項目の考慮すべき要件に照らして判断したい。

――町政懇談会では、帰町判断は時期尚早であるとか、帰還できる条件が整っていないといった意見が多かった印象がある。

難しい問題だ。今年1月に、復興庁、福島県とともに実施した住民意向調査(回答者数2188世帯、回収率59.4%)では、約4割の方が帰りたいと意思表示をしている。約35%の方は迷っている。放射線量の問題などを気にしているように感じた。ただし、時間がたつほど失うものが大きいという事情もある。明るい話題としては、県立の診療所の誘致がおおむね決定したことが挙げられる。

――放射性物質を含んだ廃棄物の中間貯蔵施設の建設計画が撤回された一方で、環境省から今回、町内で発生した廃棄物の仮設焼却施設および放射性物質の溶出を抑制するためのセメント固形化施設の建設計画が打ち出された。また、北隣の富岡町に立地する産業廃棄物処分場に、県内で発生した放射性物質を含む指定廃棄物(1キログラム当たり8000ベクレル超10万ベクレル以下)などを埋め立てる計画も公表された。

町政懇談会でも申し上げたが、焼却施設と固化施設については、同じようなものが隣接する広野町や川内村、富岡町でも計画されている。そのことからも、住民のみなさんも設置の必要性はおわかりだと思う。ただし、安全性が担保されることが重要。産業廃棄物処分場については搬入路が楢葉町にあることや近隣住民が楢葉町のほうが多いという事情がある。富岡町とも意見交換をしないといけないし、安全協定を含めてすり合わせをしないといけない。現時点では理解が進んだというレベルではまったくない。

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