今「売上高150%の店」に見えている商売の本質 「テイクアウトが人気だから」では決してない
経営者がその違いを分析してみると、客足が戻ってきた店は繰り返し買いに来てくれる地元の方々が多くいる店。そうでない店は、主にその日限りの観光客がメインの店だった。
この店の多くが立地しているのは、有名な観光地だ。同社自体が有名な地元ブランドであり、観光客のお土産需要も大きい。「その日限りの観光客がメインの店」が悪いわけではない。
しかし、このコロナである。経営者いわく「人通りは一気に消え」、6月以降もその状況は大きくは変わっていない。そんな中で支えになったのが、地元のお客さんだった。経営者自身、今回のコロナでその存在の大きさにはじめて気づいたという。
最初にご紹介した名古屋のレストランや新大阪のバー、そして客足が戻ってきた和菓子店。これらの店に共通しているのは、一言で言うと、“ストックされている顧客”の存在だ。ここで言う「ストック」とは、文字どおり「ためておくこと。蓄えておくこと」の意味だ。
あなたの店や会社で繰り返し「買う」意思・意向を持つ存在、そして実際に買ってくれる存在。そうした顧客こそ、こうした危機下においても、ビジネスを持続的に支えてくれる決定的に重要な要因となる。
実際に名古屋のレストランや新大阪のバーは、以前からそうした顧客作りに励んできていた。そして今回、店主らは弁当やテイクアウトを始めたことをSNSなどを通じて伝えた。すると顧客はすぐに動いた。
高級弁当には遠方の顧客も含め注文が殺到し、バーのテイクアウトにも顧客から次々と注文が入った。そして今回のことでこの違いの重大さに気づいた和菓子店チェーンでは、現在、地元のお客さんをさらに強固に“顧客化”するために、顧客リスト作りとその整備、顧客へのこまめなアプローチに注力している。
この時代に打つべき3つの対策とは
ビジネスをしている方は、ぜひこの機会に自問自答してみてほしい。自分の店や会社は、顧客をストックしているだろうか、と。そして、その答えが「NO」や「まだ不十分」であれば、今すぐ、次の3つのことに注力するといいかもしれない。
1つ目には、「顧客とつながること」だ。ちまたの多くのお店や会社に足りないことは、顧客との“つながり”だ。先の店では、日常的に顧客とのつながりを保つよう、SNSでの発信や、ニューズレターと呼ばれる定期刊行物の発行などを行っている。
何かあったときだけ発信するのではなく、何もなくても日常的な発信を絶やさず行う。そういう活動があってはじめて、「なんとなく常連さん」ではなく、はっきりと顧客だと言える存在が保持されていく。
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