今「売上高150%の店」に見えている商売の本質 「テイクアウトが人気だから」では決してない
多くの日本企業が、コロナ禍の中で苦しんでいる。なかでも飲食業や観光関連業など、ダメージの大きい業種の現状は、今も連日のように報道されている。しかしそんななか、そのような業種でもダメージを受けない、あるいはダメージを回避できているお店や会社は存在する。いったいなぜなのか? いくつかの事例をひもときながら、お伝えしていきたい。
コロナ禍でもダメージを受けにくい店の秘密
まずは名古屋にある飲食店の事例。この店はおまかせコース料理のみの完全予約制のレストランだ。世界的に有名なグルメガイドにも載る同店は、「予約が取れない店」として名をはせていたが、4月の緊急事態宣言発令後は続々キャンセルが入り、予約がゼロに。さらには自治体の要請に応えて一時休業、ほかの日も午後8時までの営業とした。それにもかかわらず、売り上げは前年比150%を記録。現在も堅調に商売を続けている。
同様の報告はほかにもある。例えば新大阪のバーのケースだ。営業自粛、午後8時までの営業などと、飲食店の中でもダメージの大きいと言われる業態だ。しかしこちらも緊急事態宣言の下で一時休業し、時短要請にも応えたが、結果的に前年比で6%しか売り上げを落とさなかった。そしてこちらも現在、快調に営業している。
テレビなどで「コロナ禍でも元気な飲食店」が取り上げられるとき、多くの店が「テイクアウト」を活用しているのを見たという人も多いだろう。実際、名古屋のレストランは、1個3000円、8000円という超高級弁当が人気化したし、大阪のバーは持ち帰れないお酒の代わりに「フィッシュ&チップス」「チキン&チップス」など4種を1000円で販売し好評だった。
しかし、彼らがダメージを回避できた本質的なポイントは、「通販やテイクアウト」を始めたこと、それそのものではないと考える。実際コロナ禍で、多くの飲食店はテイクアウトやデリバリーを行い、通販を始めた店もあるが、そうした店が皆、同じように高い成果を出しただろうか。これらの店とそうでない店との間には、明らかに違いがあるのだ。
そこで、この「違い」がコロナ禍での業績にくっきりと表れた、もう1つの例をご紹介したい。ある有名観光地一帯に店舗を展開する和菓子店チェーンの事例だ。このチェーンでは、4月からの緊急事態宣言下、全店を閉め、その後徐々に営業を再開した。すると予想外に、一気に客足が戻ってきた店とそうでない店が、くっきりと分かれたという。
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