5G対応「iPhone12」にハイテク企業の期待高い訳 コロナや米中対立の逆風を吹き飛ばせるか
[東京 14日 ロイター] - 米アップルが発表した新型iPhoneの売れ行きを、部品を供給する日本のハイテク企業がこれまで以上に注視している。次世代通信規格5Gが搭載されるのを待っていたユーザーの買い替えを促し、米中対立で失われる中国・華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]向けの部品需要を埋め合わせられるかもしれないとの期待がある。
「5s」や「6」の受け皿に
競合の韓国サムスン電子<005930.KS>のギャラクシーなどと比べ、iPhoneは高速通信5Gへの対応が大きく遅れていたが、今回発売する4機種はすべてが5G接続が可能となる。アップルは毎年この時期、新機種を発表しているものの、5Gモデルの発売を待とうと買い控える動きが出ていた。
日本の電子部品メーカー関係者は「5GのiPhoneを待っていた層は少なからずいる」と期待感を示す。
スマホ向けの部品を手掛ける国内のハイテク企業は、ソニー <6758.T>、キオクシア、TDK <6762.T>、村田製作所 <6981.T>、セイコーエプソン <6724.T>、シャープ <6753.T>など少なくない。「1─2年前に買い替え期にありながら5G対応まで待っていた人たちにどれだけ響くかは、当然気になる」と、別の部品メーカー関係者は言う。
新型iPhoneは高性能モデル、大画面モデル、標準モデル、小型軽量モデルの4機種を揃えた。調査会社IDC Japanの菅原啓シニアマーケットアナリストは「ラインアップとして隙がない」と評価する。
標準モデルの「12」は8万5800円(税別)からと、「11」より1万円程度値上がりとなるが、SBI証券の森行眞司シニアアナリストは、機能面の進化を踏まえると「競争力はありそうだ」と指摘する。iPhone5sや6といった旧モデルが昨秋、最新のOS(基本ソフト)のサポート対象から外れており、「受け皿になり得る低価格帯の機種も用意しており、世界規模での販売台数は期待できるのではないか」と、森行氏は話す。