「プラド」11年目でビッグマイチェンの意味 クロスカントリー4WDが「長く作られる」ワケ

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5大陸走破プロジェクトは、トヨタと関連会社の社員などが自ら運転し、オーストラリア、北米、南米、ヨーロッパ、アフリカを50~100日前後をかけて走破するもの。地元の人たちが使う道を実際に走ることで、単に性能を上げるだけでない、安心して使えるクルマの開発に役立てている。これに、ランドクルーザーや「ハイラックス」などを使っているのだ。

5大陸走破プロジェクトでの走行シーン(写真:トヨタ自動車)

ランドクルーザーの開発を担う責任者は、同じ技術者が長く関わりながら開発者自身も世界各地へ出張し、現場の声を直接聞いて進化させるべき度合いを慎重に見極めている。

一旦、世に出したクルマで冒険ラリーのような競技に出たり、使われている現地に出向いて使われ方を直接見分したりする開発の仕方が、クロスカントリー4WDでは不可欠なのだ。そうした実地での検証をするためには、年月がかかる。

そうした姿勢で歴代が進歩を遂げた結果、1951年からのランドクルーザーとプラドを合わせた累計の販売台数は、世界で1000万台以上となる。プラドだけでも300万台を超えているという。また、国内においては、1991年からの集計となるが、ランドクルーザーで77万台以上、プラドで51万台以上の販売となっており、堅実な販売を続けている。

“変わらないこと”の価値

一般社団法人自動車販売協会連合会(自販連)の乗用車ブランド通称名別順位において、ランドクルーザーはほぼ30位台を安定して保持しており、近年人気の「RAV4」や「C‐HR」と比べると順位は下になるが、ランドクルーザーは乗用車ベースのSUVとは異なる特殊な4輪駆動車だ。

10年以上フルモデルチェンジをしていなくても、なお販売が堅調というあたりに、悪路走破性の高さや耐久性に対する絶大な消費者の信頼をうかがい知ることができる。その点は、メルセデス・ベンツGクラスへの憧れとも通じるところがあるのではないか。

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クルマは、フルモデルチェンジをすることで魅力を活性化し、かつ時代に適合した商品性を手に入れていくのが一般的だが、これらクロスカントリー系4輪駆動車は、装備などの改良は施されても、“基本構造が変わらないこと”が価値となる特別なクルマといえるだろう。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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