岸田氏の大宏池会構想、支持広がらぬ深刻事情 麻生派、谷垣グループと合流、頓挫する菅降ろし
自民党総裁選で菅義偉首相に惨敗し、7年8カ月ぶりの無役に追いやられた岸田文雄前政調会長が突然、「大宏池会」構想を打ち上げた。
岸田氏が率いる宏池会(岸田派)と、その流れをくむ麻生派や谷垣グループが合流し、2021年秋の総裁選再挑戦に向けて党内基盤を拡大するのが狙いだ。
ただ、総裁選からわずか3週間での構想表明に、麻生派や谷垣グループは当惑を隠さず、岸田派内でも不満が表面化している。岸田派前会長の古賀誠元幹事長の名誉会長退任問題への反発から、古賀氏の側近グループは派閥離脱の動きを見せている。
麻生派からは「自分の派閥もまとめられないのに、他派の力を借りようとするのは虫が良すぎる」(幹部)との声が噴出。総裁選で対応が割れた谷垣グループでも「グループの分裂が加速するだけ」(同)と懐疑的な声が多い。自民党内では岸田氏が目指す次期総裁選前の合流実現は「極めて困難」(自民長老)との見方が広がっている。
麻生派、谷垣グループとの合流を提案
岸田派(宏池会、47人)は5日、都内のホテルで政治資金パーティーを開催した。主催者としてあいさつした岸田氏は「宏池会の大きな塊を実現できるように先頭に立って汗をかく」と発言。次期総裁選に向けて宏池会から分派した麻生派(志公会、56人)と谷垣グループ(有隣会、他派掛け持ちも含め20人余)と合流する「大宏池会構想」の実現をめざす考えを表明した。
パーティーには、麻生派や谷垣グループの幹部らも出席。岸田氏は「宏池会は過去に何度か分裂の歴史を繰り返してきた。しかし、『分断から協調へ』の重要性を訴えている以上、宏池会こそが身をもってそれを実践していかなければならない」と合流の必要性を訴えた。
このあと岸田氏は8日、自らが呼び掛けた谷垣グループ幹部らとの会食で、「宏池会は間違いなく変わる」と吹っ切れた表情で熱弁をふるった。岸田氏は今後、麻生派も含めた合流工作を積極的に進める構えだ。
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