若者に人気のショート動画アプリ「TikTok(ティックトック)」の利用禁止を宣言する国が、またひとつ増えた。中国時間の10月9日夜、パキスタン政府が「公序良俗に反するコンテンツがある」ことを理由に、TikTokの配布や利用を禁止すると発表したのだ。
パキスタン通信規制庁(PTA)の声明によれば、TikTok上で「不道徳で下品」なコンテンツが共有されていることについて、パキスタン国内の多方面から苦情が寄せられていた。PTAは問題をTikTokに通知し、対策のための時間的猶予も与えたが、アプリに十分な改善が施されなかったという。
なお、パキスタン政府はTikTokとの対話継続を排除せず、仮にTikTokが「違法コンテンツに対処するための満足できる仕組み」を整えた場合、利用禁止について再考する用意があるとしている。財新記者はTikTokの親会社である字節跳動科技(バイトダンス)にコメントを求めたが、返答は得られなかった。
アメリカでは「全面禁止」めぐり法廷闘争
パキスタンはTikTokの利用禁止を公に宣言した世界で3番目の国家だ。最初に締め出しを実行したのはTikTokにとって(中国を除く)最大の市場だったインドで、国家安全保障上の問題を理由にインド政府が6月29日に利用禁止を発表した59本の中国製アプリのなかに含められた。
2番目はTikTokの第2の市場だったアメリカだ。8月6日、ドナルド・トランプ大統領はアメリカの企業や個人がバイトダンスおよび関連企業と取引するのを禁じる大統領令に署名した。これに伴い、アメリカ商務省は9月18日に取引禁止の詳細を発表。9月20日からアメリカ国内のアプリストアでTikTokのダウンロードを禁止し、11月12日からはサービスの提供そのものを禁じるとした。
これに対してバイトダンスは、大統領令とそれに基づく商務省の措置の差し止めを求めてワシントンの連邦地裁に提訴。ダウンロード禁止については連邦地裁が差し止めを暫定的に認めたため、アプリのダウンロードは今も続いている。たが、11月12日からの全面禁止措置をめぐっては審理が継続中であり、結果は予断を許さない。
(訳注:パキスタン政府は10月19日、同国の社会規範と法律に基づくコンテンツ対策をTikTokが実施したとして、利用禁止を解除した。ただし今後の状況次第で、再び禁止することも有り得るとしている)
(財新記者:杜知航、関聡)
※原文の配信は10月9日
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