ギリシャが財政破綻を回避する道はあるのか--ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授



 ギリシャはまだ運動靴を履いてはいないが、アイルランドなどの他の問題国は競い合って大幅な財政調整を行い、ギリシャより先行している。

ギリシャの左派の新政権は、財政状況が想像以上に悪いことが明らかになっているのに、選挙公約のため身動きできなくなっている。組合と農業団体は一日置きに抗議のために交通を遮断し、さらに抗議をエスカレートさせる可能性をにおわせている。

大半のギリシャ人は、政府による大幅な増税を阻止するためにあらゆる行動をとっている。富裕層は海外に、また一般の人々も地下経済におカネを移している。ギリシャの地下経済は推定でGDPの30%に達しており、すでに欧州で最大の地下経済の一つになっている。

アルゼンチンの場合、00年と01年に巨額のIMF融資が行われたが、結局、必要な改革が先送りになっただけであった。同国は最終的に債務不履行に陥り、さらに大きなトラウマを経験することになった。

アルゼンチンと同様、ギリシャも固定為替相場制を採用し、長期にわたる財政赤字を抱え、過去において何度も国家破綻の経験がある。それでもギリシャはアルゼンチン型の財政崩壊を回避できる可能性がある。そのためには断固たる決意で改革に取り組む必要がある。今こそギリシャは運動靴を履くときなのだ。

Kenneth Rogoff
1953年生まれ。80年マサチューセッツ工科大学で経済学博士号を取得。99年よりハーバード大学経済学部教授。国際金融分野の権威。2001~03年までIMFの経済担当顧問兼調査局長を務めた。チェスの天才としても名を馳せる。

(週刊東洋経済2010年2月27日号)

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