サントリー、「やってみなはれ買収」の今後 1兆6000億円の巨額投資は回収できるのか

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記者会見会場には、サントリーとビームの蒸留酒群が置かれていた

懸念材料は、ビーム社の2013年度業績では新興国の成長が鈍化している点だ。同社の市場別の売上高構成比は北米が6割弱を占める。今後、最も成長が期待されるアジア太平洋・南米地域の売上高は2割程度だが、2013年度は1割弱の減収となった。

これは豪州とインドの不振が原因だ。特にインドは世界最大の蒸留酒消費国であり、中間所得層の拡大からさらなる拡大が期待できる。そこでの減収は今後に不安を残す。

ビームサントリーは今後、販路の共有を進め、新興国には「角瓶」や「ジム・ビーム」、「ティーチャーズ」など価格帯の低いものから展開。その後、徐々に単価の高いものを投入していく予定だ。

社長退任は当面なし

会見では、買収だけでなく、佐治社長の進退についても注目が集まった。2013年2月には、2014年で社長を退任する考えを示していたためだ。

これについて、佐治社長は「早晩新社長を抜擢したい」としながらも、「ビームサントリーの事業がスタートしたばかり。もう少しホールディングス全体を見ていかないといけない」として、明言を避けた。

酒類部門のグローバル化に向けて、大きく舵を切ったサントリー。まずは早期に相乗効果を生み出し、成長軌道に乗せることが佐治社長に課せられた使命なのかもしれない。

(撮影:鈴木紳平)

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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