サントリー、「やってみなはれ買収」の今後

1兆6000億円の巨額投資は回収できるのか

記者会見に臨んだサントリーホールディングスの佐治信忠社長(左)とビームサントリーのマット・シャトックCEO

サントリーホールディングスは5月15日、米蒸留酒大手ビーム社の買収完了を受け、両社トップそろっての記者会見を行った。ビーム社は「ビームサントリー」に社名を変更し、今年中にサントリーの蒸留酒部門と統合する。蒸留酒部門の売上高は2社の単純合算で約7000億円。ジョニー・ウォーカーで有名な英ディアジオの約2兆円、シーバスリーガルを展開する仏ペルノ・リカールの約1兆1000億円に次ぐ規模だ。

今後は「ディアジオ、ペルノ・リカールを追撃して脅かすことができるポジションを確保したい」とサントリーの佐治信忠社長は意気込む。

今回のM&Aで注目を集めたのは、巨額の買収費用だった。その額1兆6000億円。業界内では「高すぎる」との評価もある。だが、佐治社長は「今回の買収は適正価格なんて言い出したらとても買えるようなものではない。いくら出せば買えるのかという発想だった」と振り返る。また「サントリーには創業以来『やってみなはれ』というチャレンジスピリットが脈々と流れている。ビーム社の根幹をなす精神も共通しており、それが両社を結びつけた要因」とも語った。

1兆6000億円のうち、8000億円は東京三菱UFJ銀行からのブリッジローン(つなぎ融資)で調達。年内に借り換え、8000億円のうち3000億円を金融機関からの資本性のある劣後ローンで、5000億円を国内メガバンクなどからの借り入れと国内外での社債発行でまかなう見込みだ。

15年で回収する見通し

今後の焦点となるのは、ビームサントリーの成長性だろう。佐治社長は同社の売上高について2020年度1兆円という目標を掲げた。そのときには同社のフリーキャッシュフローが現在の約700億円から1200億円に改善すると見込んでおり、1兆6000億円の買収費用は15年で回収可能とした。

売上高1兆円の目標を達成するには年率平均5%以上の成長が必要だが、スピリッツ市場は世界で5%以上のペースで拡大している成長市場。賞味期限が比較的短く、量を売らないといけないビールに比べ、スピリッツはグローバル化しやすい。プレミアム化(高価格帯品への移行)などで今後も市場成長の余地がある。

だが、ビームサントリーの決算を見ると、必ずしも楽観できない。

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