在宅勤務で急浮上、「書斎」導入にあの手この手 「住む」と「働く」の両立へ、変わる住宅の機能

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写真中央の「箱」が書斎になる、三菱地所レジデンスの「箱の間」(写真:三菱地所レジデンス)

在宅勤務の広がりが住宅の役割に変化を迫っている。衣食住を担う住宅に、突如職場としての機能が求められるようになったためだ。

とりわけ脚光を浴びるのが、家庭内職場ともいえる「書斎」。ところが、降って湧いた書斎需要は住宅業界にとって悩みの種となっている。

収納内に「書斎」を組み込む

東急不動産は9月、コクヨと共同で洋室内に設けるテレワーク用ブースを開発した。東急不動産が世田谷区内で分譲中のマンション「ブランズシティ世田谷中町」に順次導入する。マンション購入検討者の希望に応じて、壁面収納内にコックピッド型のブースを設ける追加工事を施す。収納の一部を転用するため、新たに間取りを変更する必要がないのが特徴だ。

東急不動産が提供するテレワーク用ブース。クローゼットの一部を転用した(記者撮影)

東急不動産住宅事業ユニットの谷口真耶係長は、「100平方メートルを超えるくらい、住戸が広ければ書斎を用意できるが、70~80平方メートル程度(の一般的な住戸)ではスペースの確保が難しい」と話す。ブランズシティ世田谷中町の分譲住戸は70~80平方メートル台が中心で、テレワーク用ブースの需要を掘り起こす。

デベロッパー各社が提案するマンション住戸内の書斎は三者三様だ。緊急事態宣言が明けて間もない6月、三菱地所レジデンスはマンション購入検討者に対して、国産木材を使った「箱」の設置を提案すると発表した。箱は幅約177センチ、高さ約162センチ、奥行き約75センチ。大人1人が座って仕事ができる程度の大きさで、リビングなどに設置すれば簡易的な集中ブースとして機能する。

三井不動産レジデンシャルも8月、正面と左右の三方を吸音仕様の衝立で囲ったデスク「Pocket Desk(ポケットデスク)」を開発。自社分譲マンションの購入検討者への提案を進める。

間取りに手を加える動きもある。野村不動産は7月、隣り合った洋室の間に引き戸を設置することで、住戸内に2畳分の書斎スペースを設けるプランを発表。神奈川県藤沢市内で11月販売予定のマンションに導入する。

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