在宅勤務で急浮上、「書斎」導入にあの手この手 「住む」と「働く」の両立へ、変わる住宅の機能
今後も巣ごもりが長引けば、住宅に対する悩みが増える可能性もある。
中堅デベロッパーの日本土地建物は8月、東京インキが保有するさいたま市内の社宅跡地に14棟の賃貸戸建て住宅を建設した。60平方メートル後半の広さで家賃は13万円台。都心部より割安だが、現地までは埼玉新都市交通「東宮原駅」徒歩6分、JR高崎線「宮原駅」徒歩14分と利便性には劣る。
にもかかわらず、すでに全14棟のうち11棟の契約が済んでおり、入居は順調だという。施工を担当した日土地建設の渡邉正之取締役執行役員は、「新宿や世田谷在住の世帯からも申し込みがある」と話す。
この物件は全棟に書斎として利用できる小部屋を設けているほか、郊外の広い土地を生かしてゆとりを持たせた。楽器演奏や大型犬の飼育、1棟あたり2台分の駐車場スペースが可能になり、こういった機能面のよさが奏功したようだ。外出自粛で自宅で過ごす時間が長くなれば、これまで気づかなかった住宅に対する不満が顕在化する可能性がある。
収納や書斎をアウトソースする動きも
デベロッパー各社は価格上昇の要因となる住戸の面積拡大には及び腰だ。土地代の安い郊外なら面積を広げても価格上昇は抑えられるが、利便性や資産性を重視する客からは敬遠される。
面積を維持しつつ客のニーズに応える策として、本来住戸が持つ機能を外部に委託する動きも進んでいる。面積縮小に伴って不足した収納スペースを補うべく、外部のトランクルームと連携したり、マンションの共用施設にコワーキングスペースやジムなどを設けたりする動きはその一端だ。
東急不動産は東京・秋葉原で運営する賃貸マンションの入居者向けに、自社で運営するシェアオフィス「ビジネスエアポート」の利用券を1世帯あたり10回分配布した。日額3000円からのサービスだが、住戸では吸収しきれない書斎ニーズの受け皿として外部施設を活用する。
マンションに無理矢理書斎をねじ込む戦略はいずれ限界を迎える。欲しい機能を導入しやすい戸建てに対抗するには、利便性やスケールメリットを生かして外部施設を活用し、機能を補完できるかが解決策の1つになるかもしれない。
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