トランプ「もしも」の場合に待ち受ける想定外 選挙戦から撤退すれば、事態は未知の領域に

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副大統領が死亡したり、職務遂行不能となったりした場合については、合衆国憲法は議会に判断を委ねている。また不測の事態に備えた法律もいくつか制定されている。

その最も新しいものが、1945年のフランクリン・ルーズベルト大統領の死去に伴って制定された1947年大統領継承法だ(この法律は2006年に再度修正された)。同法は、副大統領に続く継承順位を下院議長、上院議長代行、閣僚と定めている。閣僚の筆頭は国務長官だ(編集部注:閣僚の継承順位は以下、財務長官、国防長官の順に下っていく)。

ペロシ下院議長(80)は2日、ウイルス検査で陰性だったことを明らかにし、いざというときの準備は整っていると語った。現在の上院議長代行はグラスリー議員(共和党、アイオワ州選出)で、87歳だ。

副大統領が権力を握ったのは3回のみ

大統領の病が執務不能なほど悪化した場合は?

1960年代に批准された憲法修正第25条によると、病気が重症化するなどして職務が遂行できなくなった場合には、大統領は副大統領に対し自主的に権限を委譲することができる。

病状が深刻化した場合、トランプ氏は下院議長と上院議長代行に対し「職務上の権限と義務を遂行できない旨」を書面で通告することで、ペンス氏に権限を委譲する展開も考えられる。この場合はペンス氏が臨時大統領となるが、トランプ氏は回復後に再び権限を取り戻すことが可能だ。

2日午後、トランプ氏がウォルター・リード米軍医療センターに向けて出発することになったとき、ホワイトハウスのディア報道官は、大統領は権力を完全に保持し続けると語った。

「権限委譲は行わない」とディア氏は言った。「権力は大統領にある」。

修正第25条が成立した1967年以降、副大統領が権力を握ったのは3回のみ。いずれも極めて短時間に限られた。1回目は1985年、レーガン大統領が大腸の手術で麻酔が必要になったときブッシュ(父)副大統領に約8時間、権限を委譲した。ただし修正第25条を正式に発動することは避けられた。2回目と3回目は2002年と2007年で、ブッシュ(子)大統領が腸の内視鏡検査を受けている時間だけ、一時的にチェイニー副大統領に権限が委譲された。

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