東武によると、8000系の正式な形式は「8000型」と「8500型」。同社は派生タイプが存在する形式については「型」と表記するといい、4両・6両・8両編成が8000型、2両編成が8500型だ。このうち現役なのは2・4・6両編成。ほかに、8両編成をばらして改造した3両編成の「800型」と「850型」がある。
現在、新栃木出張所に所属するのは8500型の2両編成、8506・8606。外見は何の変哲もないが、実はほかの車両にない特別な機能を持っている。秩父鉄道に乗り入れできるよう、同線のATS(自動列車停止装置)を搭載しているのだ。
秩父鉄道乗り入れの重要任務
東武の路線網は、大きく東上線系統と伊勢崎・日光線系統の2つに分かれている。東上線車両は検査の都合で伊勢崎線の工場に入るケースがあるが、両線は直接つながっていないため、東上線の寄居と伊勢崎線の羽生をつなぐ秩父鉄道を経由して回送する。この際に秩父鉄道線内で回送車両を引っ張るのが、8506・8606コンビの重要任務だ。
この2両は1965年の登場以来東上線を走り続け、8両編成と手をつないだ10両編成などで活躍。2015年に8000系が同線の池袋―小川町間から撤退する際、10両編成のラストラン列車にも抜擢された。
同線を引退してからは南栗橋車両管区(埼玉県久喜市)に移り、今年6月に新栃木出張所に転属してきた。理由は「車両の保守運用の都合」(東武鉄道広報部)。すでに一般客を乗せる営業運転には使われていないが、新たな活躍の場で今後も現役を続けそうだ。
東武鉄道8000系
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8000系の前面
(記者撮影)
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2両編成は正式には「8500型」と呼ばれる
(記者撮影)
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6050型(左)と並んだ8000系。正面のデザインは
更新時に6050型と似た形態になった(記者撮影)
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8506号の先頭部。連結器とその周辺
(記者撮影)
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8606号側から見た2両
(記者撮影)
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8606号の前面
(記者撮影)
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8000系の台車。このタイプは初期の車両で
1976年以降製造の車両は別タイプだ(記者撮影)
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横に張り出している部分が空気ばねだ
(記者撮影)
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床下の抵抗器
(記者撮影)
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床下の機器類。コンプレッサー(空気圧縮機)は
新しくなった(記者撮影)
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8000系は製造時期で窓の形が若干違い、初期型は
この車両のように上の隅が丸い(記者撮影)
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初期の車両以外は窓の四隅が角ばっている
この車両は東上線のリバイバル塗装車だ(記者撮影)
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8506号の車内。今は牽引車のため車内広告はないが
室内はとくに改造していない(記者撮影)
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8000系の初期車はドア内側をクリーム色に塗装している
後期の車両はステンレス地の銀色になった(記者撮影)
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ドアの内側がステンレス地の銀色になった車両
(編集部撮影)
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8000系のロングシートは柔らかめで
座り心地がいいという人も多い(記者撮影)
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近年の車両に比べて幅の広い貫通路
(記者撮影)
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8506号の車内にあるプレート
(記者撮影)
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8606号の車内にあるプレート
(記者撮影)
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この編成は平成2(1990)年に更新。製造時の
銘板(上)は撤去されている(記者撮影)
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字体が懐かしさを感じさせる非常ドアコックのプレート
(記者撮影)
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8506号の運転台
(記者撮影)
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8506号の運転台
(記者撮影)
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秩父鉄道用ATSの機器類
この車両の特徴だ(記者撮影)
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秩父鉄道用ATSのスイッチ類
(記者撮影)
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運転台は通路より1段高くなっている
(記者撮影)
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亀戸線を走る2両編成
支線では8000系が主力車両だ(編集部撮影)
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亀戸線を走るリバイバルカラーの8000系
昭和30年代の試験塗装を再現した(編集部撮影)
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亀戸線を走る緑色のリバイバルカラー8000系
昭和30年代の試験塗装を再現した(編集部撮影)
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亀戸線リバイバルカラー車両の出発式
(編集部撮影)
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亀戸駅のホームに並んだ
リバイバルカラー車両(編集部撮影)
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東上線を走った「ブルーバード」塗装の8000系(右)
かつての看板列車の塗装を再現した(記者撮影)
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「ブルーバード」塗装の8000系
(記者撮影)
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「ブルーバード」塗装は東上線の開業90周年を
記念したリバイバルカラーだった(記者撮影)
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東武博物館の保存車両8111編成
登場時の塗装を再現した姿だ(写真:東武鉄道)
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都心部を走る伊勢崎線浅草行き8000系
浅草付近からは2010年に撤退した(撮影:尾形文繁)
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建設中の東京スカイツリーをバックに走る8000系
=2009年(撮影:尾形文繁)
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