佐藤二朗「僕が入社1日で大手企業を辞めた訳」 スーツを着て演劇もする暗黒の20代を超えて

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

――佐藤さん自身そう思えたきっかけは、何かあるのでしょうか?

僕が小学生のころにさかのぼるんですけど、主人公と同じようにメモ癖で悩む僕を心配した親がカウンセリングに連れて行ってくれました。そこで出会ったカウンセラーの言葉が印象的で「クセを治したら、あなたのよい面もなくなるかもよ」と言ってくれたんです。

自分のマイナスな面ばかりを責めていた僕にとっては発想を変えてくれる言葉でした。たしかに一見劣っていると思える部分も、裏を返せば優れた感覚なのかもしれないし、別の場所でプラスに転じることだってあるかもしれないと思えたんです。

今も昔も僕の根っこは同じ

ありがたいことに芝居を続けていると、いろんな演出家から「お前は他人にない感覚を持っている」と言われることがあります。それが強迫性障害と関係があるかはわからないけど、自分の感覚を評価してくれる人もいるんだなって、うれしかったですね。

「僕自身は子どもの頃と根っこの部分は変わりません」と言う佐藤さん(撮影:矢部朱希子)

僕自身は子どもの頃と根っこの部分は変わりません。今だって根拠のない自信を持つ自分もいれば、弱気な自分もいます。こだわりだって強いから、メモ癖も残ってはいます。でも今は共存して闘っていこうと思うし、それが自分の持ち味だとも思っています。

世間から見たら劣っていると思うことがあっても、それはむしろ自慢していいし、誇ってもいいことなんですよ。今苦しんでいることは、絶対どこかであなたの大切な感覚になるはず。それだけは自分の息子にも自信を持って伝えられることですね。

――たしかにそう考えると苦しむってマイナスなことばかりじゃないですよね。

話は逸れますが、鍼治療の原理ってご存じですか? 鍼治療というのは、鍼でつける傷を利用して血流をよくするのが原理なんだそうです。

次ページ往生際悪く、生きていい
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事