FRBは今後「バブル退治」をする気があるのか 政府に財政支援要求の一方、難しいバブル管理

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<リチャード・クラリダFRB副議長>

「2%のインフレ率が実際に少なくとも数カ月続き、さらに完全雇用を達成するまで金融当局が利上げを検討することはない」「数カ月前の当局者の予測よりもこれまでの景気回復は力強いが、今後は困難な道のりになる。財政政策による支援が役立つ」としている。

<チャールズ・L・エバンス・シカゴ連銀総裁>

「労働市場が完全雇用に達し、インフレ率が持続的に2%を維持するまでFRBは金利をゼロに据え置く」「インフレ率が2%を明確に上回り、2.5%やそれを上回る水準を追い求めて緩和を強化することを恐れていない。さらに緩和が必要ならばそうするだろう」「財政政策のスタンスは重要。小規模企業には融資ではなく支援供与が必要」としている。

<エリック・ローゼングレン・ボストン連銀総裁>

「新型コロナの流行が予想以上に長期化しており、企業や家計を引き続き支援するため、追加の財政政策が必要」「コロナの流行が3カ月なら問題なかったが、かなり長期化しており、より的を絞った支出が明らかに必要だ」「経済がコロナ禍前の水準に戻るにはワクチンが幅広く行き渡ることが必要。それまで金融、財政政策は極めて緩和的に維持される必要がある」とする。

FRBが政府に包括的景気対策の早期導入を促す

あえて多めに4人の高官の話を引用したが、いかがだろうか。かつてドナルド・トランプ大統領はFRBに対して「仕事が遅い!」と不平を露わにしていた。

今度は、FRB高官がそれにオウム返しするかのごとく、政府に包括的景気対策の早期導入を促している。金融政策の限界が近づいていること逆手にとり、開き直りとも言える姿勢を示した形だ。

現在、包括的景気対策を巡って共和党と民主党の隔たりは依然大きく、暗礁に乗り上げた印象すらある。だが、こうしたFRB高官の発言は少なからず政府の背中を押すだろう。包括的景気対策を巡る協議は徐々に妥協点がみえてくるのではないか。ちなみに、日本では日銀の政策委員が政府の財政政策に注文をつけることは極めて稀であり、現在もそうした動きはみられない。

さて、一方でFRBが直面するもう一つの悩ましい問題は「バブル」である。実体経済の回復に対して株価の上昇が著しいため「FRBの金融緩和がバブルを醸成している」との指摘は多く、それが格差拡大を助長しているとの批判もある。そうした中で、FRBは「雇用最大化」と「物価安定」の2大責務のうち雇用を重視する姿勢を明確にしている。

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