原油1バレル=30ドル割れの懸念が再び出てきた 大産油国イラクのOPEC脱退の観測まで浮上
ここへきて原油市場が再び下落の懸念が高まっている。原油価格の指標であるNYのWTI原油先物価格は7月に1バレル=40ドル台を回復して以降、この節目をやや上回ったあたりを中心とした狭いレンジ内で、長いモミ合いが続いていた。だが、9月に入ってからの株価の調整につれるように売り圧力が強まり、8日には1バレル=36.13ドルの安値をつけるまで値を崩している。
売りと買い勢力のバランスが再び崩れかけている
8月までの膠着相場は、新型コロナウイルスの感染拡大や経済活動の落ち込みの影響を受けた需要低迷が大きな重石となっていた。一方で、FRB(米連邦準備制度理事会)の積極的な金融緩和政策や景気回復期待を背景とした株価上昇を好感する形での投機的な買いも下支えしていた。
売り買いが非常に微妙なバランスを維持していたわけだが、ここへきてそうしたバランスが崩れ始めてきたのは間違いない。モミ合いが長く続いた相場というのは、それが崩れた時には往々にして大きく値が動くものだ。
今回の下落局面でも、下げ幅はかなり大きなものとなる可能性が高いと見ておいたほうがよい。状況次第では一時的にせよ30ドルの大台を割り込むまで値を崩すことも十分にあり得る。今回はこうした弱気見通しの根拠を、需要と供給の両面から説明してみたいと思う。
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