米大統領選直前、10月株価は大きく変動するか

アメリカ株は悪材料が増え不安がいっぱい?

確かにドルは主要通貨の中ではユーロに対しても上昇しているし、前述の欧州における新型コロナウイルスの流行再燃懸念もあるから、円安になったのではなくドル高になったのである、という解説はうなずけると感じる向きも多いかもしれない。

しかしユーロも、対円での最安値は21日の1ユーロ=122円52銭で、その後週末までその水準を割れていない。ユーロに対してドルが強含みで展開した、という点はあるが、21日途中までは欧米株価の下振れで「リスク回避のための円高」の様相が強まったが、その後はそうした相場付きが薄れ、全般に円安方向に戻した、という解釈の方が、当てはまっているように考える。

加えて、シカゴの円先物市場の買いと売りの残高を見ると(非商業筋、俗に投機筋と呼ばれる投資家のポジション)、今年3月半ば以降直近に至るまで、円の買い越し(円の買い残の方が多い)となっている。つまり投機筋などはすでに円を買ってしまっているので、ドル円相場が104円ちょうどに迫ったからといって、さらに円を買い乗せるというより、すでに買っていた円を利食い売りする向きが多く、それがさらなる円高に歯止めをかけたのかもしれない。

株価浮上には主要国の7~9月期企業決算の確認必要

こうしてシルバーウイーク明けの日本株は、休場中にヒヤッとしたものの、アメリカの株価がザラ場安値から戻ったことや一時の円高が一巡したことに助けられて、軟調気味ではあったものの大きく崩れはせずに週を終えた。

繰り返すが何か深刻な新しい悪材料が表れたというよりも、基本的にはこれまでずっと不安視されてきた要因にせいぜい新しい動きが少し乗った程度だとすれば、今週以降も日本を含めた主要国の株価指数が、大きく崩れていくことは見込みにくい。

一方で、主要国におけるコロナ禍に対する経済政策が、いったん出そろい一巡したことも事実だ。もちろん、必要であれば日米欧諸国の政府や中央銀行が追加対策を検討するだろう。だが、アメリカの状況は前述のように協議が膠着しており、日銀なども追加で打てる手は極めて限られている。

しかし、主要国の実体経済や企業収益は、概ね4~6月期を最悪期として持ち直しはみせている。日本のシルバーウイークも、行楽地や商業施設などの客足は、かなり戻っていたようだ。高速道路の渋滞も、久しぶりに激しいものになったとも聞く。

もちろん、何の不安もなく景気が戻っているわけではなく、引き続き業種・業態や企業・個人事業によっては、厳しさが緩まないところも多い。それでも、経済全体としての回復基調が確認されてきている、という点は、株価の下支えとして働きそうだ。

こうした諸点を勘案すると、主要国の株価指数(株式市況全般)としては、大きく上下には動きにくい地合いが続くだろう。企業収益の回復期待が裏打ちされるには、日米等の7~9月の企業収益実績を確認する必要があり、10月後半から11月前半の発表時期までは、株価は上にも下にも進みにくい。

11月3日のアメリカの大統領選挙も、同国政治の不透明要因として、株安材料とまではなりがたいだろう。それでも、やはり上値を抑制する方向で働きそうだ。特に今回の選挙では、郵送による投票の割合が高いと推察され、選挙結果が僅差となった場合、負けた陣営から郵送投票の集計に疑義が寄せられるなどで、決着がつくことが遅れる展開も否定できない。10月いっぱい辺りまで、主要国の株価指数は、短期的な上下動がありながらも横ばいに近い基調が続き、11月以降、じわりとした強含み傾向に足を進めるものと予想している。

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