EUに乱暴な揺さぶりをかけた英ジョンソン首相 終わらないブレグジット、貿易協定の期限迫る
北アイルランドとそれ以外の英国(イングランド、スコットランド、ウェールズ)はアイリッシュ海で隔てられている。英国本土から北アイルランドに物品が流入する際、北アイルランドの港湾施設で税関や規制検査を行う。EUの関税をいったん代行徴収し、物品が北アイルランドにとどまる場合、輸入業者が関税の還付請求を行う。
両アイルランドやスコットランドにも不満くすぶる
こうした解決策は英国の分断にもつながりかねない。北アイルランドではアイルランド再統一を支持するカトリック系住民の人口が、英国残留を支持するプロテスタント系住民を逆転して上回っている。また、2月に行われたアイルランドの総選挙では、アイルランド再統一を支持するシン・フェイン党が躍進した。
EU残留派が多数を占め、2014年に英国からの独立投票を行ったスコットランドでは、北アイルランドを特別扱いする解決策に不満の声も広がる。来年の議会選挙では、スコットランド独立支持派が過半数を獲得するとみられている。
北アイルランド企業が関税の還付請求をする取り決めは事務的に煩雑で、企業のコスト高要因となる。離脱合意では英国とEUが合同委員会を設置し、北アイルランド経由でEUに持ち込まれるリスクが高い物品を特定し、それ以外の物品は関税徴収を免除するとしていた。
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