災害で寸断の鉄路、復旧「補助」の条件は何か 行政だけでなく民間の持続的な支援も必要だ

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ただし、これを利用する場合には、復旧対象の施設を鉄道事業者でなく、地方公共団体の保有とすることになる。そのため、南阿蘇鉄道や上田電鉄ではいわゆる上下分離方式を採用することになっている。くま川鉄道も、もしこの制度を使うのであれば、復旧した施設等に関して上下分離方式を採用する必要が出てくることになろう。

過去には、同じ九州内で、鹿児島交通枕崎線(鹿児島県)、高千穂鉄道(宮崎県)が水害からの復旧を断念して廃止されたということがあった。水害を受けた鉄道の悲しい歴史を思うと、被災した路線が廃止されずに存続するというのはよろこばしい。

個人でできる支援も

大規模災害鉄道復旧補助を受けることにより、その鉄道の事業構造はより公益的な面が強調されることになる。「この鉄道を維持することが地域のために死活的に必要である」という覚悟の下、一民鉄、一企業としてではなく、地域の交通体系の一角をなす公共交通事業体として、地域はよりその鉄道を守り、生かしていくことが望まれる。

もちろん、復旧を支援する手段は国庫による補助に限られない。たとえば青森県五所川原市は厳しい経営が続く地元の津軽鉄道支援のためにふるさと納税を活用している。

公的な支援だけでなく、くま川鉄道の復旧支援のためにクラウドファンディングが始まったり、えちごトキめき鉄道などほかの鉄道事業者がくま川鉄道復旧祈念グッズを発売したりしている。

くま川鉄道の担当者は「被災を風化させないことが大切」と話す。行政と民間の息の長い持続可能な協力と行動が求められる。

小島 好己 翠光法律事務所弁護士

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こじま よしき / Yoshiki Kojima

1971年生まれ。1994年早稲田大学法学部卒業。2000年東京弁護士会登録。幼少のころから現在まで鉄道と広島カープに熱狂する毎日を送る。現在、弁護士の本業の傍ら、一般社団法人交通環境整備ネットワーク監事のほか、弁護士、検事、裁判官等で構成する法曹レールファンクラブの企画担当車掌を務める。

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