災害で寸断の鉄路、復旧「補助」の条件は何か 行政だけでなく民間の持続的な支援も必要だ

✎ 1〜 ✎ 29 ✎ 30 ✎ 31 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

筆者が調べた限りでは根拠条文が必ずしも明らかではなかったが、大規模災害からの復興に関する法律(以下「大規模災害復興法」)は第57条において、「…当該特定大規模災害からの円滑かつ迅速な復興のため特別の必要があると認めるときは、…別に法律で定めるところにより、当該特定大規模災害からの復興のための財政上の措置その他の措置を速やかに講ずる」と規定しており、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律が存在するので、これに基づく制度と思われる。

補助を受ける条件

大規模災害鉄道復旧補助を受ける場合、当然ながら条件がある。「特定大規模災害等」(大規模災害復興法第2条第9号)によるものと認定されることが第1の条件だが、そのうえで、

①その復旧事業が民生の安定上必要であること
②復旧事業費の額が災害発生の日が属する事業年度(基準事業年度)の前事業年度末からさかのぼって1年間における鉄軌道の運輸収入以上の額であること
③災害復旧事業を行う路線を有する鉄道事業者が次のいずれにも該当すること
ⅰ基準年度の前事業年度末からさかのぼって3年間、各年度の鉄軌道事業の損益計算において経常損失もしくは営業損失が発生していること、または、適切な経営努力がなされても当該の災害によって基準年度以降おおむね5年間を超えて各年度の鉄軌道事業の損益計算において経常損失もしくは営業損失が確実と見込まれること
ⅱ鉄道事業だけでなく当該事業者が経営するすべての事業について③と同様の要件を満たしていること
ⅲ補助を受けずに災害復旧事業を施行した場合、その経営安定に支障が発生すると見込まれること
④復旧後の当該路線の長期的な運行(10年以上の運行に限る)が確保されることが確実と見込まれること
⑤当該災害を受けた鉄軌道の収益のみによっては、当該鉄軌道の運営に要する費用(災害復旧事業費を除く)を償い、かつ、当該災害復旧事業に要する費用を回収することが困難と認められること 

というものである。

くま川鉄道も2020年6月に承認された2019年度決算では8000万円程度の営業損失を計上しているとのことであり、開業後30年連続営業赤字である。通学輸送に多大な貢献をしており10年以上の長期運行も確保されるであろう。条件を満たすことは間違いないと思われる。

大規模災害鉄道復旧補助を受けるにはさらに以下の条件が必要になる。「補助対象に該当する鉄軌道事業者が鉄軌道事業の事業構造の変更を行い、かつ、当該災害復旧事業により復旧した鉄軌道の施設を、地方公共団体又は公共的団体等が保有する場合に限る」という条件である。

次ページ「上下分離方式」にする必要も
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事