復旧後の鉄道施設を地方公共団体が保有したり(いわゆる「上下分離方式」)、国、地方公共団体等の公的出資が2分の1以上となる法人(第三セクター等・地方財政法施行令第1条の法人)が保有したりすることが条件となる(国交省『鉄道の防災・減災対策』)。
大規模災害からの復興と将来にわたって安全な地域づくりという法律の趣旨を踏まえての補助制度である性格上、公的主体の保有が求められているものと解釈される。
くま川鉄道は出資比率の面でも地方公共団体の出資が2分の1を超えているので(52.29%・2020年8月時点)、この制度によりくま川鉄道は国庫から復旧費用の2分の1の援助を受けることができる。
長野の上田電鉄の場合
ところで、同じ大規模災害鉄道復旧補助を利用することとなった南阿蘇鉄道(熊本県)や上田電鉄(長野県)は、復旧費用の総額のうち、地方公共団体の実質的な負担は2.5%とされている。
国庫からは2分の1(50%)が限度となっているし、鉄道事業に関することであるのに、なぜ国の実質補助率97.5%、地方公共団体の負担率2.5%、鉄道事業者の負担なしということになるのか。
このからくりは以下のとおりである。
災害が発生した場合、被災した地方公共団体への手当てとして災害復旧事業費に伴う地方債を利用することができ、さらにその元利償還金に対して交付税措置を国はとることができる。地方債の返済に充当するお金の95%を国が交付するというものである。
大規模災害鉄道復旧補助により総費用の50%をまず国庫で負担する。残りの50%について、復旧対象の施設の保有主体を鉄道事業者にせず地方公共団体とすれば、この災害復旧事業費に伴う地方債を利用できる。50%と47.5%(50%×95%)を合わせて97.5%となり、残り2.5%を地方公共団体が独自のお金で負担すればよい、ということになる。
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