菅首相、実はワーカホリックで現実的な「素顔」 縦割り打破や規制改革、掲げる改革は本物か

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その菅氏が初めての会見で個別政策のほかに強調したのが、「行政の縦割り」「前例主義」の打破であり、「既得権益にとらわれない規制改革」だった。こちらは統治システム全体にかかわる問題意識ではあるが、特別目新しいものではない。

似たような言葉はこれまで多くの政権が掲げてきた。いずれも標的は霞が関の官僚組織であり、返す刀で政治主導の実現を唱えていた。

死語に等しい「官邸主導」

安倍政権で官邸主導の政策決定が定着した今、「官僚主導」という言葉はもはや死語に等しい。にもかかわらず菅氏が改めて行政の縦割り打破などを打ち出すのは、官僚組織を自らが掲げる改革を実現するための障害物と位置づけているからだろう。

しかし、官僚を抑え込めさえすれば改革が実のあるものになるわけではない。政治、経済、社会あらゆる分野に閉塞感が漂ういま、菅氏の掲げる改革が本物なのかどうか、それを見極めるための指標をいくつか考えてみたい。

1つ目は、官僚組織を自分の意のままに操れば改革が実現するわけではないという点だ。自民党も産業界もつねに既得権を守ろうとする。

かつて小泉純一郎首相が、「自民党をぶっ壊す」と言ったように、本気で既得権にとらわれない規制緩和を実行しようとすれば、官僚組織のみならず自民党とそれを支持する業界団体もその前に立ちはだかる。

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