「キングダム」に学ぶ聞き上手な部下になる方法

自分の主張をしがちにならない事も大切だ

しかし『キングダム』の中で騰と、彼が仕える大将軍・王騎が一緒に登場する場面を今一度見直してみれば、この両者が絶妙なコンビネーションを見せてくれることに気づくと思います。その「絶妙」さを生み出しているのが、騰のコミュニケーション力なのです。

王騎軍の中にあって、騰はNo.2というポジションで、常に王騎のかたわらに控えています。組織におけるNo.2の役割は、コーチとよく似ているのです。有能なコーチがクライアントを進化させるように、組織のトップを進化させるのが理想的なNo.2と言えます。

騰は王騎将軍の話をそばで聴くことに徹し、自らジャッジをしたり、自分の意見を言ったりすることはほとんどありません。戦況の判断などで「ねえ、騰?」と王騎に問われるたびに、「ハ!」と返事をする騰ですが、実はこの何気ないやりとりの繰り返しこそが、立派なコーチングになっているのです。

何気ないやりとりから見えること

騰は、自分が敬愛するリーダーが自問自答しながら最高の結論に達するのを、「ハ!」で促しているのです。


「ねェ、騰?」


「ハ!」

たびたび交わされる王騎将軍と騰の、このやりとり。単純に聞こえるかもしれませんが、実は、これはコミュニケーションの極致。非常に高度で、心理的に深いやりとりなのです。

王騎の側に立ってみましょう。「ねェ、騰?」と問いかけるとき、王騎は決して意見を聞こうとしているのではありません。自問自答をするなかで、自分の声を自分で聴いて確認したいときに、「ねェ、騰?」と言っているのです。

騰も、自然とそれを承知して「ハ!」と返しています。へたなNo.2なら、ここで自分の価値観を主張しがちです。しかし、No.1が求めているのは、ジャッジをせずに話を聴いてくれる人。聴くことができる人ほどコミュニケーション力が高い人物であり、優秀なNo.2と言えるのです。

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