中古車頼りの地方鉄道「新車」導入は難しいのか 低コストで導入できる統一車両開発が必要だ
都市部の人が地方に行き、その地域を走る私鉄の車両を見ると「懐かしい車両が走っているなあ」と思うことが多いだろう。JRも、地方では古い車両を見かける機会は多い。地元の人からすると「なぜ新型車両が入らないのか?」と疑問を抱くこともあるかもしれない。
筆者のふるさとの山梨県の場合、JR中央本線では1990年代から2000年代にかけて東北本線・高崎線方面で使用されていた211系が走っており、富士急行では元JRの205系(富士急行では6000系)や、特急車両は元小田急やJR東海の車両が使用されている。
都会の鉄道ファン目線だと、「いまでも懐かしの車両が頑張っている」と言えるが、地元目線では「本来は地域の実情に合わせた新車を」と感じることもあるだろう。
中古車両のコストは?
車両の導入にあたって大きな課題となるのがコストである。鉄道車両の製造費用は、おおむね1両当たり1億円超と言われることが多い。では中古車両の導入費用はどうか。いくつか見てみよう。
養老鉄道(岐阜県・三重県)は2019年、東急電鉄の池上線などを走っていた7700系を導入した。費用は15両で6億1000万円といい、1両あたりおよそ4000万円だ。登場以来約50年が経過している車両だが、東急時代にリニューアルされており、今後30年程度使用するという。
熊本電気鉄道(熊本県)は近年、元東京メトロ銀座線の01系や元日比谷線の03系を導入している。購入費については、18m車両が2両1編成で運送費などを含めて約1億8000万円と報じられている。18m車両に該当するのは03系だ。
どちらの例も、1両1億円超という新車に比べれば低コストだ。
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