初代「レヴォーグ」6年間の総括で見えた功績 不満に応えた「日本専用車」は成功と言えるのか

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この堅調さは、2016年の新グレード「STI Sport」投入や2017年の大幅改良など、定期的なテコ入れが功を奏したと言える。

とくに2017年の大幅改良では、アイサイトの進化版の「アイサイト ツーリングアシスト」を搭載したこともあり、発売1カ月で目標の2.5倍となる約5200台の受注を得た。

「STI Sports」は大幅改良後の主力グレードとなった(写真:SUBARU)

販売比率はSTI Sportが全体の4割強を占め、排気量では、1.6リッターと2リッターの割合が7:3といった具合だ。

ちなみにレヴォーグは、日本専用車という位置づけだ。現状、アメリカ、アセアン、オーストラリアなどでは、ステーションワゴンのニーズは低い。また、ヨーロッパでのスバル車は、税金などの関係で非常に高額となってしまうため、販売こそされているが、数が売れる状況ではない。つまり、レヴォーグは実質的に日本でしか売れないクルマなのだ。

スバルの新技術はレヴォーグから

もしも、レヴォーグが予定どおりに売れていなかったら、どうなっていただろうか。仮に日本での販売に失敗していたら、1世代だけで終わっただろう。つまり、第2世代が登場したという事実だけを見ても、初代は成功したと言えるのだ。

2代目レヴォーグは「スバルのテクニカルフラッグシップ」として、現在のスバルの最新技術が積極的に投入されている。そして、レヴォーグで試された新技術は、その後、スバルの別モデルに横展開されることになる。

10月に発売開始となる2代目レヴォーグ(写真:SUBARU)

聞くところによると、「低重心が売りの水平対向エンジンや、シンメトリカルレイアウトを生かしたスポーティな走りといったスバルならではの技術は、レヴォーグに使うことで最も効果を発揮できる」というのが、レヴォーグがテクノロジーフラッグシップになった理由の1つだという。

今やスバルのビジネスの主戦場はアメリカだ。かの地と比べれば、日本の市場は格段に小さい。その小さな日本市場のための専用車であるレヴォーグの存在は、スバルの中で肩身が狭いのかと思いきや、実は逆であったというのがおもしろい。そうしたスバルならではの技術を生かす器という意味でも、スバルにとって初代レヴォーグというクルマが生まれた価値は大いにあったと言える。

鈴木 ケンイチ モータージャーナリスト 

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すずき けんいち / Kenichi Suzuki

1966年生まれ。茨城県出身。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。レース経験あり。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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