「メンズメイク」にハマる30代男性が増えるワケ 予想外に広がる日本人男性のメイク市場
パートナーは「すっぴんのほうが好き」と話しているそうで、意見は割れているそうだが「僕は、化粧後のキリッとした自分の顔が好きなので、貫き通します」と笑顔で語った。
ネイルから美容に目覚めたエンジニア男性も
アラフォー男性はどうか。エンジニアの加藤さん(仮名、38歳)にも話を聞いた。
肌艶が美しい加藤さんだが、はっきりと目立つ色味は使わないナチュラルメイク。彼がメイクしている事実に気がつかない人がほとんどだろう。
加藤さんが美容に目覚めたのは、約4年前。多忙で仕事のストレスがたまっていたときに、ネイルアートが施された、女性のきれいな手元が目に入った。ふと、「自分もネイルをやってみたい」と思ったのだという。
2016年当時はまだ、メンズネイルに対する目は厳しく、男性が施術を受けられるネイルサロンも少なかった。しかし、ネイル施術後、きれいになった自分の爪を見て、テンションが上がった。IT企業のエンジニアとして毎日長時間パソコンに向き合う中で、一番長時間視界に入るのは、自分の手元。「ネイルは、精神安定剤です。爪を眺める回数が増えました。満足感でいっぱいになり、以降定期的にネイルサロンに通っています」という。
毛深いのがコンプレックスで、小学生の頃に「ゲジゲジ眉毛」とからかわれたのがつらかった加藤さん。社会人になって「コンプレックスは、お金で解決すればいいのでは?」と考えるようになり、有名眉毛サロン「アナスタシア」を予約。眉が整い、顔つきが変わった自分の姿を見て、美容熱は増していった。
「スキンケアも楽しそう! と思って、化粧水と乳液と美容液を購入しました。肌がもちもちするのが嬉しくて、いつの間にか、自分の朝晩のルーティンに組み込まれるように。あわせて、メイク下地なども利用するようになりました」(加藤さん)
複雑な手順などは、メイク本で学んだのだという。
「まずはメイク本を購入して、お化粧の全体構造を知ることから始めました。モチベーションを上げてくれたのは、ものまねメイクで有名なざわちんさんの本。メイク次第でいろんな顔になれることがわかったし、プチプラコスメがたくさん紹介されていて、手をだしやすかったんです」(加藤さん)
まずは専門家の文献を辿る──エンジニアの加藤さんらしい研究プロセスだ。基本を学んでからは、YouTubeも眺めるようになったという。
「女性コスメYouTuberは多いけれど、色を使ったメイクがしたいわけではないし、男女は骨格や顔の作りが違うので、直接的に参考にはなりませんでした。僕はメンズメイクに興味を持った2016年頃は男性美容が今ほどは認知されていなかったので、女装をしている方の動画を見て、ベースメイクを学びましたね。今はモーニングルーティン動画などが流行しているので、情報も拾いやすい印象です」(加藤さん)
無料会員登録はこちら
ログインはこちら