犯罪が起きやすい「週末の商業施設」に潜む闇 犯罪者の人物像についての誤った思い込み

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不審者のイメージを自由にコメントしてもらうと、「挙動不審」「薄汚い服を着ている」「無職」「おじさん」というキーワードが出てくることがよくあります。

これは親同士の噂話や実際に起きた事件の報道、あるいはテレビドラマの描写などが影響しているのかもしれません。もちろん、上のようなキーワードが該当するケースもありますが、実際は必ずしも正しくないという事実を強調しておきたいところです。

例えば、幼児を対象とした強制わいせつ事件の加害者を調べてみると、約7割が10代から30代。つまり、子どもたちにとっては「お兄さん」といってもいい人物が加害者になっているのです。ここは、親としても大きな盲点かもしれません。 

親たちが警戒を解いている年齢層の人たちの中に、最も警戒しなければならない不審者が潜んでいる可能性もあるわけです。

また、不審者は独身で無職というイメージが根強くあるのですが、これも必ずしも正しくありません。強制わいせつ事件の容疑者の40.3%が既婚者、80.6%が有職者だという統計結果が出ているのです(法務省『犯罪白書(平成27年版)』)。

また、「うちは男の子だから大丈夫」と考えている方がいるかもしれません。しかし、男児を対象とした強制わいせつ事件は実際に存在します。不審者の性的嗜好はさまざまですから、性別にかかわらず、わいせつ事件に巻き込まれる可能性は十分にあるのです。

では、彼らはどのようにしてターゲットである子どもにアプローチするのでしょうか。

犯罪はどこで起きるのか?

犯罪が起きやすい場所には、2つの特徴があります。1つは人の気配が少ない場所。

少し話がそれますが、犯罪心理学では「日常活動理論(routine activity theory)」という考え方があります。これはアメリカの犯罪学者・マーカス・フェルソンとローレンス・E・コーエンが提唱したものです。

この理論によれば、犯罪は「加害者」と「標的(被害者)」、そして「監視者がいない状況」の3条件がそろったときに起きるとされています。テナントの入っていない雑居ビル、管理されていない公園、住宅街の中の空き家……。

このように街の中にある人けのない場所は、まさに監視者が欠如した状態であり、犯罪が起きる可能性の高い場所だと考えられるのです。では、もう1つの犯罪が起きやすい場所とは、どこでしょうか? 

それは、不特定多数の人が出入りする場所です。

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