大戸屋のメニューがガラリと変わる必然の未来 コロワイドの敵対的買収で経営方針を転換へ
そして2019年の値上げでも振り落とされずに残ったのはチョイ高の価格でもいいから安心しておいしい夕食を食べたいという考え方の顧客でした。つまり今、大戸屋に残っている顧客は、今の大戸屋メニューを支持する顧客ばかりなのです。
さて、少しだけ話がそれますが、私は大戸屋が大成功している店舗の1つがアメリカのニューヨークの店舗だと思います。
今は新型コロナのおかげで行くことができませんが、以前、仕事でニューヨークにでかけて日本食が食べたくなると大戸屋に行ったものです。そのニューヨークの大戸屋はすごい行列の人気店なのです。
しかしながらアメリカですから価格は日本以上に高い。日本では1000円で食べられる夕食が感覚的にはアメリカでは25ドル(約2650円)くらいになる。それでもニューヨークの顧客は大戸屋がいいというのです。さらに大戸屋はニューヨークで天婦羅まつ井というお店も経営していますが、こちらは2015年以来ミシュランの一つ星です。
日本ではチョイ高市場が中流層の縮小で衰退
その大戸屋が日本では経営不振にある。日米を対比すればわかるとおり、その理由はニューヨークは中流層や富裕層が増加する市場であることと、日本は今や貧困が社会問題になっている市場だということです。
実は日本のかつての大戸屋ブームは、2010年代前半のちょい高ブームに支えられてきたものでした。その当時、ちょっと高くても自分がいいと思う食事やカフェに行って、手の届く贅沢を楽しむことがひとつのライフトレンドとなっていたのです。
ところがこのチョイ高市場は、2010年代中盤以降、アベノミクスによる富裕層と下流層の拡大、いいかえると中流層の縮小によって衰退する市場となってしまったのです。
もちろん縮小したとはいえ大戸屋を支持する中流層は一定規模で存在してはいます。しかし同時にこれはビジネスの定石なのですが、縮小市場でコンセプトもオペレーションも変えない企業はどうしてもジリ貧になってしまうものなのです。
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