では、そんな千葉県に入るにはどのような路線があるのか。東京と千葉を結ぶ鉄道は相当に多い。南から順にたどると、JR京葉線・地下鉄東西線・JR総武線・京成本線……といった按配だ。京成線はさらに県内で枝分かれしたりするが、ともかくこれらが東京都心と千葉を結ぶ大動脈である。並行しつつもそれぞれ微妙に異なる沿線をカバーしているが、大雑把に“総武線ルート”とまとめてしまおう。
このほかに、前述の通り常磐線・つくばエクスプレスルートもある。こちらと総武線ルートを果敢に結んでいるのが、武蔵野線・東武野田線・新京成線・成田線我孫子支線だ。だいたい東京都心を目指す人の流れが大半の中で、こうした類の路線がいくつも通っているあたりは、千葉県北西部の鉄道網の充実ぶりを示しているといっていい。埼玉県南部もしかり、東京のベッドタウンたる郊外の住宅都市というものは、その域内だけをとっても交通の便に恵まれているのだ。
房総の海へ向かう特急
さて、それではベッドタウンエリアからさらに進んで千葉のより奥を目指そう。千葉県内には特急列車が4つもある。ひとつは成田空港を目指す「成田エクスプレス」だから横に置くとして、残りはいわゆる“房総特急”「さざなみ」「しおさい」「わかしお」。海に囲まれた房総半島らしい名付けだ。
が、やっかいなことにこの三大房総特急、名前を聞くだけではどこを通っているのかがまったく見当もつかない。あげくに、どれも東京駅発着にもかかわらず「しおさい」だけが総武線地下ホーム、残り2つは京葉線地下ホーム発着だからますますもってわかりにくいのである。東京駅の総武線と京葉線の地下ホーム、ともに地下でもとてつもなく離れているので、間違えてしまったら取り返しがつかない。
まあ、筆者が文句をつけたところでこの三大特急は伝統の房総エル特急の系譜をひく名列車。総武本線を走り切って銚子を目指す「しおさい」や、外房線を走って鴨川シーワールドのイルカに逢える「わかしお」などは房総観光に欠かせない特急列車として定着している。
「わかしお」の外房線の途中駅、上総一ノ宮駅は横須賀・総武快速線や外房線直通の京葉線が終着としているから聞いたことがある人も多いだろう。上総一ノ宮駅近くの海岸は東京2020のサーフィンの会場。遠くハワイ、カリフォルニアから太平洋の荒波が押し寄せる外房だ。
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