マグロを食べる人の激減で損害被る人々の苦難

コロナで打撃、豊洲市場や飲食店など回復遠く

「4-5月ぐらいはお客さんの9割以上が休んだから、結局僕らも事実上の休止。7月の頭くらいは結構良かったんだけれど、またそこからちょっと失速した」。まるで刀のような大きな包丁を振るって158キロのホンマグロを捌きながら、天野氏は言う。

同氏の店ではもっぱら高品質のマグロを生・冷凍で販売しているが、ここ1ヶ月は、主要ホテルや東京・羽田空港の飲食店からの需要が伸びず、通常に比べて30~40%も取引が減ったと話す。

このところ海外からの注文はやや上向きになっており、特にロシアからの注文はパンデミック前の水準に回復しつつあるという。

国連食糧農業機関によれば、日本の高級マグロ輸入量は2019年に10%増加し、特にホンマグロは13%伸び約3万9660トンとなった。2020年の東京五輪などの大型イベントに備えた業界の動きが背景にある。五輪はその後延期が決定された。

2018年のマグロ輸入額は世界全体で157億ドル(現在の為替で約1兆6600億円)。最大の輸入国は日本だった。

だがパンデミックは国内市場に大きな打撃を与え、財務省のデータによれば、2020年上半期の日本の輸入額は前年同期に比べ18%減少した。外出や外食の手控えムードが残る中、状況はなかなか好転しそうにない。

東京海洋大学の勝川俊雄准教授によれば、東京の寿司屋は地方から来る人々に人気があるが、そうした訪問客が減少しているという。

同准教授によると、寿司屋関係者からは「東京への旅行が全部キャンセルされて誰も来ない」との声が聞かれるという。

お店を応援したい

生命保険会社勤務の女性は、8月末の平日の夜、娘を連れて神田の「鮪のシマハラ」を訪れた。この店が営業を続けられるように応援したいというの気持ちがあったという。

この女性はふだん家でマグロを食べることはないという。解凍プロセスが面倒だからだ。

コロナ自粛の中でも彼女のようなお客さんにマグロを手軽に食べてもらえないか。「鮪のシマハラ」のオーナー、島原氏はオンラインで販売する商品に、マグロを解凍・調理する最良の方法を説明するパンフレットを添付している。

(Daniel Leussink、翻訳:エァクレーレン)

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