大人も魅了する「進化系クッキングトイ」の実力 巣ごもり需要で例年以上に市場も活性化する

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料理はままごとの定番であり、子どもが憧れる家事といえる。また親にとっても、子どもと一緒におやつを作るのは幸せな時間だ。メガハウスのクッキングトイは親子の家時間を彩ることに力点が置かれている。

クッキングトイの開発は簡単ではない。まず玩具の安全性を高めるために、多くのメーカーが準拠する「ST基準」をクリアする必要がある。この基準をクリアしSTマークを取得するのは、実はかなりハードルが高い。

幼児が誤飲したりしない形状の安定性に加えて、燃えやすくないことや、有害な化学物質が使われていないことも求められる。そのうえで、食品を扱うことから、「食品衛生法」が定める要件も満たす必要がある。

また味の好みや食の楽しみ方は千差万別であるが故に、企画した玩具が思ったほど市場に受け入れられないこともあるそうだ。

通年でも楽しめるような工夫を

それにもかかわらず多くの玩具メーカーがクッキングトイを作るのは、食という人間の基本的な営みを玩具の力で楽しいものにしたいという、意欲の表れだろう。

最後にそれぞれのメーカーの担当者にクッキングトイの課題と、今後の展望を改めて聞いた。

「クッキングトイは玩具故に熱を使いづらいというハードルがあり、夏向けの商品のほうが作りやすいのですが、通年で楽しめるような工夫や新商品を考えていきたいです」(タカラトミーアーツの鳥越氏)

「2007年に『とろりんチョコポット』という商品を開発したのですが、当時は温度管理の難しさや汚れやすさから、チョコレート素材を玩具に利用するのが難しいというのが定説でした。しかし発売すると子どもたちに人気が出て、それからはチョコレートを使ったクッキングトイが他社でもたくさん見られるようになったのです。これからも今までにない分野にチャレンジして、クッキングトイの新分野を開拓したいですね」(メガハウスの小林氏)

ひとり飯の喜びを追求できたり、家族の時間を盛り上げたりできるのが、クッキングトイの魅力 。今年の秋冬は自粛の気疲れを吹き飛ばすためにも、家での食に遊び心を取り入れてみてはどうだろうか。

蜂谷 智子 ライター・編集者

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はちや ともこ / Tomoko Hachiya

東京都出身。上智大学大学院文学研究科博士前期課程修了。語学教材の専門出版社を経て2014年よりフリーランスのライター・編集者として活動。住宅・教育分野の執筆多数。1児の母。Facebookはこちら

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