新薬承認のキーマンに流れる製薬マネーの驚愕 審議会委員への多額の金銭授受は妥当なのか

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ご存じの通り日本では”国民皆保険制度”が導入されており、承認された薬はすべて国民健康保険で賄われる。つまり、皆さんが払った保険料が7割ないしは9割適応される。さらに、高額な薬については高額療養費制度が適応されるため、より多くの保険料が支払われる。薬にはとんでもなく多くの公的な金銭が充てられているということだ。

したがって、政府や薬事・食品審議会の委員に課せられた責務は、特定の製薬企業や個人の利益のためではなく、公益のために働くことであり、彼らの意見は公正でかつ根拠に基づいた偏りのないものでなければならない。

それにもかかわらず、今回の調査では、医薬品承認を司る機関に属する薬事・食品審議会の委員の47%が2016年度に製薬企業から少なくとも1回の支払いを受け、委員1人当たりの平均支払額は107万1898円であったことが明らかになった。さらに、審議会会員の利益相反申告の約5%は、当該製薬会社から報告された支払額を下回っており、そのうち27.4%の申告では薬の承認の決に不正に携わっていた可能性があることも明らかになった。

支払いが少ない委員も

今回、特に注目すべき結果は、医薬品第二部会の委員への支払いが全体の57%を占めており、しかもこの医薬品第二部会に占める医師の割合も67%と最も高かったことだ。医薬品第二部会は、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬など、製薬会社に莫大な利益をもたらす可能性のある医薬品の命運を握っている。逆に、新薬をそれほど頻繁に扱わない再生医療等製品・生物由来技術部会の委員への支払いは最も少なかった。

また蛇足ではあるが、ここで支払いが多かった委員を見てみよう。表3に支払いが多かった上位10人をリストアップした。

単年あたりに1000万円を超える金銭授受がある委員がいることには呆れ果てるが、驚くことに上位9名を大学教授が占めている。これまでの研究でも、製薬企業と大学教授や医学分野の学会の理事などには強い金銭的関係があることが示されており、その結果と矛盾しないと言えよう。

以上の結果からは、製薬企業にとって将来的に利益を得られる可能性のある医薬品を扱う部会の委員への支払いが多くなっているように解釈できる。このように露骨な利益相反がある委員たちを新規薬剤の審議・承認に携わらせることは倫理的に許容されるのかについては疑念が残る。

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