国内景気の持続的回復と外需の底入れを背景に、中国製造業の景況感の改善に弾みがついてきた。9月1日に発表された8月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は53.1と、前月の7月の52.8から0.3ポイント上昇し、好不況の判断の目安とされる50を4カ月連続で上回った。
ただし留意すべきなのは、8月31日に発表された中国国家統計局の調査に基づく製造業PMIが51.0と、目安の50は上回っているものの7月の51.1から0.1ポイント低下したことだ。財新と国家統計局のPMIが異なる動きを示したことは、企業や業界によって景況感のばらつきが依然大きい可能性を示唆している。
製造業の生産指数は6カ月連続で拡大基調を維持し、上昇幅が2カ月連続で拡大した。調査対象企業からは「新型コロナウイルスの打撃からの回復が続き、顧客の引き合いが増えている」という声が寄せられた。
コロナ収束までの長期化になお残る不安
新規受注指数は3カ月連続の拡大基調となったが、特筆すべきなのは8月の輸出の新規受注指数が今年初めて縮小基調を脱し、拡大基調に転じたことだ。世界の多くの国々が新型コロナの感染拡大防止と経済再開の両立を目指すようになり、中国の輸出企業に活気が戻り始めている。
そんななか、回復の遅れが依然顕著なのが雇用だ。製造業は雇用拡大に慎重な姿勢を崩しておらず、8月の雇用指数は8カ月連続の縮小基調から抜け出せなかった。調査対象企業によれば、製造業の多くがコスト削減圧力にさらされており、採用増への心理的ハードルになっているという。
今後12カ月間の楽観度を示す指数は拡大基調を維持したものの、3カ月ぶりの低い水準を記録した。中国の製造業は総じて、新型コロナの世界的流行が時間とともに落ち着けば、景気回復の勢いがさらに強まるとの見方を共有している。しかし新型コロナの収束までにかかる時間の長さや、その間に被る打撃の深さについては、今も不安が消えていないのが実態だ。
「中国国内では『コロナ後』の景気回復が持続し、外需も好転してきた。引き続き懸念すべきは雇用だが、その改善は経済全体の長期的な回復にかかっている。マクロ経済政策による景気下支えの手を(中国政府は)緩めてはならない」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そうコメントした。
(財新記者:沈凡)
※原文の配信は9月1日
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