ポスト安倍、「石破潰し最優先で菅」のあざとさ

雪崩打つ各派閥、注目は早くも「2位争い」に

告示日の8日午前には3氏の陣営の代表が、それぞれ20人の推薦人名簿を添えて立候補を届け出る。その後は候補者そろい踏みでの都内や地方での街頭演説などを行うのが通例だが、コロナ禍の中での活動には制限があり、日本記者クラブや各テレビ局などの候補者討論会での政策論議が中心となる見通しだ。

両院総会方式での後継選びとなったことで、政界では菅氏の得票数と岸田、石破両氏の2位争いに注目が集まっている。

両院議員総会では、所属議員394人と都道府県代表各3人(141人)の合計535人が投票する。派閥単位で圧倒的な支持を集めている菅氏が、1回戦で過半数の268票以上を獲得すれば、その時点で新総裁就任が決まる。ただ、半数以下となれば得票数1、2位による決選投票(2回戦)となり、議員だけの投票での決着となる。

1回目で過半数の可能性高いが…

派閥単位での菅氏の圧倒的支持がそのまま議員票に反映されれば、同氏の260票以上の獲得が見込まれ、都道府県代表の得票を合わせれば、菅氏が1回戦で過半数を制する可能性が高い。

しかし、総裁選は伝統的に無記名投票で、過去の総裁選でも「判官びいき」などで弱い候補が予想外の得票をするケースが少なくなかった。このため、菅氏の得票が伸びない場合は支持陣営の中の潜在的な「反菅」票の存在が明らかになり、2回戦突入ともなれば菅新総裁の求心力に影を落としかねない。

一方、2位争いが注目されるのは、1年後に実施予定の本格総裁選をにらむ両氏の戦略に大きな影響を与えるからだ。両氏の得票を予測すると、率いる派閥の人数では岸田氏が28人上回っているが、都道府県代表からの得票次第では順位が入れ替わる。

そこで各陣営が神経を尖らせるのが都道府県代表の票の行方だ。それぞれの党員・党友数とは無関係に47都道府県から各3人が代表として投票に参加する。ただ、この3人の代表は各地域で選出された自民議員につながる人物が多く、派閥の影響力も及ぶ。派閥単位の動きを踏まえれば、地方代表票のかなりの部分が菅氏に集まる可能性がある。

ただ、9月1日の総務会で党員・党友投票を求める声が相次いだことを踏まえ、麻生派の鈴木俊一総務会長は各都道府県連で党員・党友による予備選挙を実施することを前提に、執行部方針の両院総会方式で了承を得た。地方代表票は各都道府県での予備選の結果も反映されることになり、党員・党友の人気が高い石破氏の票がかさ上げされそうだ。

首相就任が確定的となった菅氏にとって、今回総裁選は「事実上の信任投票で、何としてでも一発決着」(側近)が必要となる。これに対し、岸田、石破両氏は2回戦に持ち込むことが目標となる。表舞台の候補者討論会で火花を散らし、水面下ではそれぞれの陣営が票の切り崩し合いでしのぎを削ることになりそうだ。

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