テレワーク中の指導がついパワハラになる理由 会社への不平不満が生まれる職場のカラクリ

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会社側の対策

業務管理の1つの型であるマイクロマネジメント。これによるマイナス感情の蓄積を回避するためには、①業務管理の型を変えるか、③精神的サポートを増やすか、2つの方法があることがわかります。

後者では、精神的サポートについての実践的な管理職教育や1on1ミーティングの導入を検討していくことになります。1on1ミーティングは、上司と部下が1対1で面談し、表面的ではない信頼関係を築くことで、失敗も含め自然体の自分を見せられる「心理的安全性」を部下に与え、成長を促すことを目的として行います。

これをマイクロマネジメントが起こっている現場だけに使うのではなく、全社的に活用することで、自発的に考えて動く社員がたくさんいる「活気ある組織」に近づきます。

管理職側 の対策

マネジメントにおいて最も大切に思ってもらいたいこと、それは「部下の感情に関心を持つこと」です。管理職の方は、部下の業務と精神状態の両面をサポートする役割を自身が持っていることを再認識し、1on1ミーティングなどで部下との関係構築に臨んでみてください。

環境・労働価値の変化に伴う部下の感情を考慮した際に、マイクロマネジメントが適切なマネジメント方法ではないと感じた場合には、マネジメント方法の見直しが必要となります。

「働きやすさ」を手にする相談の4視点

本人側の対策

本人側からも、マイクロマネジメントの状況下であっても何かできることがあるはずです。例えば、報連相の強化、特に「相談」を強化していくことを意識することをおすすめします。

報連相では、結果の報告や進捗状況の連絡も重要ですが、最も大切なのは「相談」です。自分で考えることを放棄せず、業務の改善を提案・相談するよう心掛けていけば、一方的に指示を受けるだけではなく、自身も業務の推進に積極的に関与できるチャンスが生まれることがあります。なお、相談の際には必ず次の4つを、それぞれ明確に分けて伝えることが大切です。

何が起きているか(事実の報告)
どうしてそうなっているのか(自分なりの分析)
自分はこうしようと思う(対応法の提案)
今してほしいことを伝え、意見を聞く(何をしてほしいのかを伝える)
『「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さて、どうする?』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

自力で何ができるのか、その探求を放棄してしまうと、「働きがい」や「働きやすさ」を手に入れられる可能性は一気に下がってしまいますし、その逆もしかりです。

テレワークの推進といった、社員のための「働き方改革」に着手しても、社員の労働価値と離れた施策を講じてしまうことで、空振りどころか逆効果になるという事態が往々にして起こっています。会社と社員との心のギャップを広げないために、労働価値にはマクロシフト・ミクロシフトが起こることを前提に施策を考えていきましょう。

上村 紀夫 エリクシア代表取締役、医師

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うえむら のりお / Norio Uemura

1976年兵庫県生まれ。名古屋市立大学医学部卒業後、病院勤務を経て、2008年ロンドン大学ロンドンビジネススクールにてMBAを取得。戦略系コンサルティングファームを経て、2009年「医療・心理・経営の要素を用いた『ココロを扱うコンサルティングファーム』」としてエリクシアを設立。これまで3万件以上の産業医面談で得られた従業員の声、年間1000以上の組織への従業員サーベイで得られる定量データ、コンサルティング先の経営者や人事担当者の支援・交流で得られた情報をもとに、「個人と組織のココロの見える化」に取り組む。著書に『「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さて、どうする?』(クロスメディア・パブリッシング)。

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