コロナ太りから痩せる人、痩せない人の「差」 「体重」だけを見て一喜一憂する人の盲点

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ちなみに私はBMIはほとんど気にしません。BMIは肥満度を表す指標として国際的に用いられる指数で肥満か低体重かの判定に用いられるものですが、身長と体重のバランスだけを見るものなので、脂肪や筋肉の量が考慮されていないのです。

たとえ体重が適正だとしても、内臓脂肪がたっぷり含まれていては健康的とはいえません。また大人になれば身長はほとんど変わらないため、BMIの数字に注目するのは、結局「体重」のみを見ているのと大差がないのです。

このようにダイエットを続けるには体重だけではなく、体脂肪や筋肉量など複数の指標をもつことが大事です。

「インスタ映え」する自分の背筋を想像する

ダイエットのモチベーションをキープするためにほかには何ができるでしょうか。例えば、インスタ映えする自分の体型を想像すること。

インスタグラムを使っているかいないかにかかわらず、もし仮にインスタグラムにダイエット後の自分の写真をアップするとしたら、自分がどんな体型をしていたら「より映えるか」を考えるのです。

これはつまり、ダイエットや運動をした後に自分がどのような体型になりたいのかを具体的にイメージするということ。漠然と「もう少し体を絞りたい」「かっこいい体型になりたい」などと抽象的に思っているだけではなく、目指すべき具体的な姿を考えるのです。

これを勧める背景には、アメリカの社会学者、マートンが「自己成就の予言」と呼んだ人間が起こす現象があります。

「自己成就の予言」とは、人がある予言を(それがたとえ根拠のないものでも)信じて行動することによって、結果的にその予言が実現する現象のこと。

マートンはその具体例として、銀行倒産の噂が広がると、預金を引き出す預金者が殺到し本当に倒産してしまうことや、受験生が「試験にはきっと失敗する」と思い込んでいると、クヨクヨして勉強をする時間が短くなり本当に失敗してしまうことなどを挙げています。

例えばコロナ禍で一時トイレットペーパーやティッシュペーパーが店頭から消えましたが、これも「今後トイレットペーパー類が不足するかも」という根拠のない予言を多くの人が信じ、スーパーに殺到したために現実になってしまった「自己成就の予言」の1つといえます。

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受験生の例からもわかるように、これは個人の目標にも当てはまります。ダイエットでいうなら、「やせたい」と思っていても「いや、でも実際は無理かも」と思っているとダイエットのための行動をする時間が短くなり、結局「やせない」という現実が起きるのです。この「やせないかも」→「実際にやせない」という流れにしないためには、スタート時の目標を明確にすることが重要です。そこで「インスタ映えする自分の体型」を想像するのです。

「ダイエットをしたい」「やせたい」と思う人は大勢いますが、ダイエットしてどのような体型になりたいと思っているかは人によって千差万別。単に体重を落とせればいいと思っている人もいれば、体重を落としてかつ筋肉で引き締まった体型にしたいと思う人もいます。

では自分はどうなりたいのか。まずはこの、自分の理想の体型を具体的にイメージする、そして「この体型を目指そう」としっかり思うことが大事なのです。

塚本 亮 ジーエルアカデミア 代表取締役、京都山城スポーツクラブ代表、同志社大学嘱託講師

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つかもと りょう / Ryo Tsukamoto

1984年京都生まれ。高校時代、偏差値30台、退学寸前の問題児から一念発起し、同志社大学に現役合格。卒業後、ケンブリッジ大学大学院で心理学を学び、修士課程修了。

帰国後、京都にてグローバルリーダー育成を専門とした「ジーエルアカデミア」を設立。

心理学に基づいた指導法が注目され、国内外の教育機関や企業、トップアスリートなどから指導依頼が殺到。これまでのべ6000人に対して、世界に通用する人材の育成・指導を行っている。主な書籍として26万部突破のベストセラー『「すぐやる人」と「やれない人」の習慣』などがある。

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