大坂なおみを批判する人に知ってもらいたい事 「多様性」の問題は日本人とは全く無縁ではない

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今回の問題には、まだ終わりがみえない。これから何が起こるか、誰にもわからない。だが、大坂は自らの立場を明確に示しており、今後も躊躇なく、そうし続けるだろう。その時に、日本のファンやスポンサーがどう受けとめるか。それは誰にもわからない。

だが、「黒人女性」であることに誇りを持ち、広く大きな心で自らのルーツを愛し受け入れ、世界で最も活躍している日本の一員が、変化を求める数百万人の声に耳を傾け、自らも加わること選択するのならば、日本人は受け入れるかもしれない。

なぜ「今」声を上げたのか

確かに、彼女には今年の全米オープンで優勝するまで発信を控え、抗議を行う前に日本にさらなる名誉をもたらすこともできた。そのほうが確実に影響は大きかっただろう。

あるいは、ハイチ人の父親(または家族か親戚の誰か)が、"普通の黒人"にしては分を超えるいい車を運転しているというだけで、警察が彼を麻薬の売人だと決め付け、彼の頭を銃で吹きと飛ばし「正当防衛だった」と主張するのを待つべきだったのかもしれない。

しかし、彼女はそうしなかった。

アメリカで非白人が受けるひどい仕打ちに対する意識を高めるために、日本のファンの揺るぎない賛同を得たいのであれば、大坂は黒人の虐殺ではなく、彼女の日本人の母親(あるいは他の家族や友人)が、アメリカの警察やトランプに影響された支持者に殺害されたり、非道に扱われたりするという事態を待つことだってできたかもしれない。

しかし、彼女はそうはしなかった。

彼女は今、声を上げた。今、日本に問題を突き付けた。そして日本は、態度を明確にしなければならなくなったのだ。 

「単一民族国家である」という時代遅れな言い訳にしがみついている場合ではない。日本が多様化してきているという事実、そして今後日本が自ら”自国民”を増やそうとしない限り、この傾向が続くという事実を受け入れなければならない。

日本という国には、今や世界的な舞台で国を代表する黒色や褐色の肌をした大坂や八村塁といった人々がいるのだという事実。好むと好まざるとにかかわらず、世界はもはや日本を「単一民族国家」であるとは見なさないという事実。そしてこれは素晴らしいことなのだという事実を受け止めよう。

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