米大統領選「ロシア介入」は本当に防げるのか

セキュリティ予算をコロナ対策に回す州も

一方でエヴァニナセンター長は、投票日まで100日を目前にした7月24日にも、選挙への脅威の実態に関する最初の声明を発表している。外国勢力が候補者の個人的な通信や選挙インフラへの侵入、ソーシャルメディアやマスコミを悪用した印象操作や世論の分断、民主主義に対する国民の信頼失墜を狙った活動を繰り広げていると指摘した。

そして、アメリカの情報機関が現時点でいちばん懸念している外国勢力として、中国、ロシア、イランを名指しした。しかし、各国がいかなる目的で、誰に対してどのような活動をしているのかまでは、踏み込まなかった。ペロシ下院議長やホイヤー下院院内総務ら民主党側は、今回の声明が曖昧すぎて「ほとんど意味がない」と痛烈に糾弾している。

エヴァニナセンター長は、7月下旬と8月上旬の両声明において、今後も選挙への脅威や対策について国民に情報を共有し続けていくと述べている。実際、8月下旬にアメリカ商工会議所が主催した会議に登壇した際には、キューバやサウジアラビア、北朝鮮も偽情報でアメリカの大統領選挙に影響を及ぼそうとしていると明らかにした。だが、これらの国は前述のロシア、イラン、中国ほどの脅威にはなっていないという。

選挙セキュリティ対策を強化した政府

エヴァニナセンター長が声明を出した直後、アメリカの情報機関の幹部2人が国際サイバーセキュリティ会議「デフコン」の選挙セキュリティに関するパネルに登壇し、選挙への脅威の現状やアメリカ政府の選挙セキュリティへの対策について率直に語った。

NSA(アメリカ国家安全保障局)の選挙脅威対策のトップであるインボーディノとサイバー軍の選挙脅威対策のトップであるハートマン陸軍准将によると、2018年の中間選挙の前に、NSAとサイバー軍は、ロシアによる選挙介入に対応するための部署を作った。中間選挙後も選挙セキュリティ対策を続け、ロシアだけでなく、中国、イラン、北朝鮮の脅威にも対応するため、「選挙セキュリティ・グループ」を正式に立ち上げている。

デフコンのパネルでは、選挙陣営や候補者へのなりすましメールによるサイバー攻撃についても取り上げられたが、今のところ、それほど大規模ななりすましメールによるサイバー攻撃は行われていないという。アメリカ政府がより懸念しているのは、世論操作、とりわけロシアの作戦の変化である。

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