米大統領選「ロシア介入」は本当に防げるのか セキュリティ予算をコロナ対策に回す州も
11月3日、アメリカは大統領選挙の投票日を迎える。2016年のロシアによるアメリカ大統領選挙への介入の轍を踏まないよう、アメリカでは選挙のセキュリティ対策が懸命に進められている。
一方で、ハッカー集団は攻撃の手を緩めてはいない。6月上旬には、中国の政府系ハッカー集団がバイデン候補の選挙スタッフに、イランの政府系ハッカー集団がトランプ大統領の選挙スタッフに対して、それぞれGmailを使ったなりすましメールを送っていたと報じられたばかりだ。
幸い、どちらのサイバー攻撃も成功しなかった。当時バイデン陣営は、対中政策文書を作成中であり、ニューヨーク・タイムズ紙は、米中の緊張が高まる中、バイデン候補の対中政策を見極め、将来の交渉に備えるためのスパイ活動だったのではないかと分析している。
選挙セキュリティの協力者には報奨金も
大統領選までの日数が近づくにつれて、アメリカ連邦政府は、州政府、民間企業や大学との連携を拡大するとともに、脅威の現状について積極的に情報公開し、サイバーセキュリティ対策の強化と一般市民の意識向上を、より図るようになった。
例えば、アメリカ国務省は、8月5日、サイバー攻撃を通じた選挙介入に関与した外国勢力の人物の身元や位置を特定するための情報を提供してくれた場合、最大1000万ドル(約10億5791万円)の報奨金を出すと呼びかけた。
国務省外交保安局が1984年に開始したこの報奨金は、対テロや国家安全保障において脅威となる100人以上の人物の情報に対し、1億5000万ドル(約158億6865万円)が今までに支払われてきた。だが、選挙セキュリティに関する情報に対してこの報奨金が使われるのは今回が初めてであり、それだけアメリカ政府の危機感と外部との連携重視がうかがえる。
アメリカ政府の危機感は相当なものだ。同日には、国務省は、ロシアの偽情報とプロパガンダに関する約80ページにも及ぶ報告書を発表した。報告書では、ロシアによる世界各地の選挙への介入についても言及している。
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