37歳で腎臓がん手術受けた彼の壮絶な闘病記録 大腸がんステージ4克服した彼女は何を見たか
腎臓がんの摘出手術自体は順調に終わったが、その後の合併症に苦しめられた。手術後に腹部内の出血が止まらず、翌日に再度の開腹を余儀なくされた。脾臓の破裂が原因だとわかり摘出により止血した。さらにその数日後には、腸閉塞が起き、結局1週間で3度、同じ手術室で開腹手術を受けることになった。
痛みも強く10日間の入院のはずが、結局1カ月ほどかかった。一方、退院後は経過観察となり、今も年1回の精密検査を受けているが、まったく普通の生活だ。手術の翌年には長女が誕生し、今は妻と3人の子どもと生活している。「がんの手術と子どもの誕生を経て、生と死について考えさせられた」。
ただ、手術で腎臓1つと脾臓を摘出したため、以前と比べて免疫力は弱っている。大東さんは「新型コロナウイルスに関しては細心の注意を払っている」と話す。
『週刊東洋経済』が実施した「がん患者・体験者、がん患者家族に関する意識調査」には約4100件の回答が寄せられた。そこでもがん患者から、新型コロナに感染したら重症化するのではないかとの懸念が綴られている。
転移は告知よりショック
患者や家族から多岐にわたる悩みや不安の中で、圧倒的多くの回答を集めたのが、「再発、転移の可能性」だ。
「転移があると言われたときは、最初にがんを告知されたときより、何倍もショックだった」。千葉県でフリーランスのカラーコーディネーターとして働く岩井ますみさんは当時の心境を語る。
講演やカルチャースクール講師など仕事は引っ張りだこで、1年後の予定までびっしり決まっていた2008年の秋、岩井さんは進行性の大腸がんだと告げられた。健康診断で便潜血が見られ、精密検査の大腸内視鏡検査を行ったところ発見された。進行ステージは2から3。翌2009年1月に、順天堂大学医学部附属浦安病院で腹腔鏡手術を行った。
手術は無事終了し、新たな講座を企画するなど、1日も早く手術前の仕事環境や生活に戻れるよう準備を進めていた。
ところが同年10月、経過観察の検査で病院を訪れたところ、血液検査の結果を見てリンパ節を丹念に触診した主治医から思いもしないことを告げられた。「腫瘍マーカーの値が高く、たぶん転移がある」。
精密検査の結果、肝臓へのがん転移が判明し、すぐに抗がん剤治療に取りかかることになった。抗がん剤で病巣をたたいてから手術するという方針だ。転移があったことで大腸がんのステージ4に。「家族は『もう長くは生きられないから、好きにやらせてあげよう』と話していたそうだ」(岩井さん)。
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