イエレン米FRB議長の議会証言要旨

「米住宅市場は頭打ち」「株価はバブルではない」

長期失業について

成長が加速するとともに、トレンドを上回るペースで継続すれば、長期失業者は減少すると信じて疑わない。

現在、失業は労働市場の状態を見極める上で適切な指標となっている。指標を1つ選ぶとすれば、失業を選ぶ公算が大きい。ただ、労働市場では勘案すべき多くのことが起きている。

例えば、自分の希望に反してパートタイム労働に従事している労働者の数は、労働力全体の5%と、異例に高い水準にある。これは失業率の水準に照らし合わせると、非常に高い。長期失業がこれほどまでに増え、全失業者に対する割合が約35%と、これほど高くなる状況は、かつてなかった。これは尋常ではない。

労働参加率は大きく低下している。ベビーブーマー世代が高齢化し退職する時期を迎え、この世代の労働参加率が低下するなど、人口統計上の構造的な要因も一部ある。

このため、軟調な経済のみにより(労働参加率が)低下したわけではない。ただ、経済の弱さが一部要因になったとは考えている。

インフレに対するFRBの決意

すべてのFOMC関係者にとり、1970年代にインフレ率が非常に高まり、当時のボルカーFRB議長がインフレを低下させるために金融引き締めに尽力したことが、(考えを)形成する上での経験として残っている。

FRBの政策が十分に引き締め的でなかったことで、高インフレがインフレ期待の上昇につながった時期も経験した。

われわれは、こうしたインフレ期待の高まりが高インフレが根強く続くことの要因になり、結果的にインフレ率を低下させるコストが非常に高くなる可能性があると考えている。

こうしたことから学んだ教訓は、われわれ全員にとり、非常に現実的なものとなっており、誰もが同様の過ちは犯したくないと思っている。われわれには、これを防ぐための手段と決意があると考えている。

完璧に成し遂げられると言うことはできない。ただ、われわれの目標達成に向けたコミットメントを明確にし、それに対する信頼感を得るため、FOMCは2%のインフレ目標を導入したということは言える。

住宅ローン金利と住宅市場、失業率について

雇用市場および経済が力強さを増すのに伴い、世帯形成は持ち直すと予想している。だが新たな正常水準がどこにあるのかを正確に知ることは難しい。住宅市場の回復継続には、世帯形成が一定度持ち直すことが必要だ。

住宅ローン金利は春から夏にかけて大幅に上昇した。歴史的な水準からは依然として低い。その点において住宅価格はまだ手頃な水準にあり、住宅市場は回復すると見込んでいる。だが回復基調と思われた住宅市場は今や頭打ちとなっている。

利上げ検討の目安とする6.5%の失業率目標は、失業率が8%近辺という、FRBが目指す完全雇用と呼べる状況から程遠い水準にあった時期に導入されたものだ。FRBは、短期金利の誘導目標引き上げの検討には、労働市場が大幅に改善することが必要であると市場に明示することを望んでいた。

ただ、失業率が6.5%に改善した段階でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を引き上げると表明したことはない。フォワードガイダンスの変更(失業率目標の数値基準を削除)は、失業率が低下し6.5%に近づいたことが唯一の理由であり、失業率は現在その水準も下回っている。

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