ミニストップがソフトクリームで勝負する理由 その場で食べる「即時消費」だからこその価値

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また「家に持ち帰れないソフトクリーム」だからこそ、求められる味わいがあるらしい。

通年で販売される「ワッフルマンゴーソフトクリーム」税込み490円(左)と「のむソフトクリームパフェいちご」税込み540円(筆者撮影)

「とくに主婦の方は、忙しい中で、ソフトクリームに“自分だけのリラックスタイム”を託しているということがわかりました。アイスクリームは買って帰れるため、どうしても家族の人数分買わなければならず、自分だけの楽しみではなくなってしまう。その場で食べる、即時消費だからこそいいのです」(渡邊氏)

確かに、家族分買うとなれば、子どもや夫の好みを優先して自分が残ったものを、と考える人も多いだろう。その場で食べられるソフトクリームだからこそ、自分だけの密かなご褒美にできるわけだ。

では、オープンしてみて、実際の客層や来店数はどうだろうか。都内近郊でも店内スペースが比較的広く、メニュー数も多い吉祥寺サンロード店では、5月29日のオープン当初は行列ができるほどで、予想どおりの感触を得ているという。ほかの店舗を含め、コロナの影響がありながら日に200〜300名が来店する店もあるそうだ。客層も、若い人からお年寄りまで幅広い。スイーツなので女性が多いという予想は立てていたが、男性1人客も一定数は訪れるという。

これは1つには券売機を導入したことが功を奏しているようだ。

自動券売機を導入し、オペレーション効率をアップ。コロナ対策としても効果的だ(筆者撮影)

もともとの狙いは、スタッフの作業をシンプルにするため。絞ったとはいえ、20種類のメニュー数があれば、オペレーションも複雑になり加工に時間をとられる。それにレジの作業が加わるだけで、都度手洗い、手袋をつける、といった過程が発生する。レジ無人化は、スタッフが加工に専念できるようにとの意図だった。

しかし人に相対しなくていい分、男性も人目を気にする必要なく、また心置きなく時間をかけてメニューを選ぶこともできる。またコロナ対策としてメリットがあることはもちろんだ。

店内がミニストップカラーで統一されていることも、男女問わず入りやすい雰囲気を作っていると言えるだろう。

コンセプトからぶれないようにする

今後の重要な課題として予想されるのが、客の要望に応えながらどう商品展開していくか、だという。

「ソフトクリーム専門店をうたっていることもあり、商品カテゴリーをどこまで扱うかは難しい問題です。例えば、コーラフロートは明らかにミニソフの商品カテゴリーから外れる。コンセプトからぶれないようにすることが大切だと思っています」(渡邊氏)

まずは直営店でしっかりと収支をとりながら、将来的にはFC展開も含めて100店舗を目指すという。

冒頭にも述べたように、コンビニも「どこにでもある、何でもある」便利さだけでは難しい時代となっている。プライベートブランドを強化したり、先日紹介したクックパッドマートのように、他業種と連携するなど、特徴を出すためにさまざまな方策を模索している。そしてウィズコロナを含め、時代に合わせた柔軟な運営が求められているようだ。ミニストップのように業態開拓に打って出るのも、そうした施策の1つとなるだろう。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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