ミニストップがソフトクリームで勝負する理由 その場で食べる「即時消費」だからこその価値
出店については採算の見直しを行い、この1年で237店舗を閉店。一方で採算性の高い店舗やミニソフの出店を進めて、現在1997店舗となっている。ミニソフの立ち上げは、CVS事業とも絡んだ、大きな戦略の中に位置づけられていることがわかる。
ただ、ブランディングの意味合いは、同社としては当初あまり意識していなかったようだ。実際、2018年7月から埼玉の越谷レイクタウンで行われたソフトクリーム専門店の試験運用時は、あえてミニストップのカラーを排除したという。
「ミニストップの運営であることが、プラスになるのかマイナスになるのか、当初はつかめていませんでした。価格もコンビニよりアップしていましたので、専門店らしさを全面的に押し出した店舗デザインにしていました」(渡邊氏)
しかし結果としては、ブランドとしての特徴がはっきりしなくなってしまったようだ。こうした課題を1つひとつ見直してオープンしたのが「ミニソフ」ということになる。店名やロゴからもわかるように、ミニストップらしさを前面に押し出したほか、たくさんあったメニューを収斂。
「メニュー数が多いということは一見、お客様サービスのようですが、結局自分の好きなメニューを探したり、迷ったり、というところでお客様のストレスになる面もあります。逆にメニューを絞り込むことによって、1品1品の価値をアップしていく方法をとりました」(渡邊氏)
「食べる」と「飲む」でソフトクリームを楽しむ
商品ラインナップとしては、まず、ミニストップでも定番のソフトクリームが主力となる。北海道産生乳を使用したコクのある味わいと、なめらかな口当たりはミニストップのソフトクリームそのまま。コーンをワッフルタイプに変え、ソフトクリームも“1巻き程度”増量して価格は360円(税込み)。ミニストップのソフトクリームのおよそ1.5倍だ。
また、ソフトクリームのさまざまな楽しみ方を「食べる」と「飲む」の2カテゴリーで訴求する。「食べる」カテゴリーは、ソースやフルーツなどのトッピングでアレンジを加えた「ワッフルソフトクリーム」や、かき氷のような「果実氷」で構成される。
そして「飲む」は、ミニソフのために新たに開発されたカテゴリーだ。シェイクのようでありながら、ソフトクリームのなめらかさも併せ持つ。シンプルな「のむソフトクリーム」と、フルーツやソースを加えた「のむソフトクリームパフェ」の2種類がある。
価格やメニューラインナップは店によっても異なるが、旬のフルーツなどを使った季節がわりの商品も加え、20種類程度をそろえるという。
「商品や店づくりで大切にしたのが、日常にひとときのリラックスタイムをもっていただけることや、素材を生かした優しい味わいです。
今回、不特定多数の方にリサーチをする中で、ソフトクリームに期待することとして、懐かしいとか、優しいといったキーワードが上がってきたためです」(渡邊氏)
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