「政権奪還」狙うバイデン=ハリスの強みと弱み 「対中・増税・環境」に注目で市場大荒れ予想も
8月17~20日に開催されたアメリカ民主党の全国大会で、ジョー・バイデン前副大統領(77)とカマラ・ハリス上院議員(55)が同党の正副大統領候補として正式に指名された。今後、11月3日の投票日に向けて、共和党の現職ドナルド・トランプ大統領(74)とマイク・ペンス副大統領(61)との対決が本格化する。
バイデン氏は前バラク・オバマ政権時の副大統領であり、1973年1月から2009年1月まで6期36年間にわたりデラウェア州選出の上院議員を務めた。
同氏にとって大統領選への挑戦は今回が3度目。1988年、2008年には民主党の予備選で撤退しており、予備選を勝ち抜いた今回の選挙で「3度目の正直」となるかだ。11月20日には78歳となり、もし選挙に勝利すれば、2021年1月20日の大統領就任時には米史上最高齢となる。
「今は重大な転換点」とハリス氏
一方、ハリス氏はジャマイカ出身の経済学者の父親とインド出身のがん研究者の母親を持つ移民2世。黒人大学として全米屈指の名門であるハワード大学(ワシントンDC)を卒業後、カリフォルニア大学のロースクールを修了した。カリフォルニア州の地方検事を経て、2011年1月から同州の司法長官を6年間務めた。2017年1月からは同州選出の上院議員を務めている。
ハリス氏が副大統領に就任すれば、女性としても、有色人種としてもアメリカ史上初となる。指名受諾演説の冒頭、同氏は「私が今夜ここにいることは、すべての人の平等と自由と正義を実現するという約束を強く信じてきた私の前の世代の人たちの献身の証です」と述べた。
そして、「ドナルド・トランプ(大統領)のリーダーシップの欠如によってわれわれの命と生活が犠牲になっている」と批判。「今は重大な転換点にある」として政権奪還に向けた党の結束を呼び掛けた。
アメリカ政治ニュースサイトのリアル・クリア・ポリティクスが集計した世論調査の平均(8月6日~18日)では、バイデン氏の支持率がトランプ氏より8ポイント近く上回っており、依然としてバイデン氏優勢に変化はない。
だが、勝敗を判断するのは時期尚早だ。早稲田大学教授の中林美恵子氏は、「現時点の世論調査はまったく当てにできない。4年前の同じ時期には、今以上に民主党のクリントン氏がトランプ氏に支持率で勝っていた。接戦州でもリードしていた。本選のキャンペーン(選挙運動)はレイバーデー(今年は9月7日)明け以降に本格化するので、勝負はこれから」と話す。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら